映画プロデューサーのささやかな日常(23)

台湾で行った映画『日々ロック』のPRイベント。多くの女性が詰めかけた=台北・新光三越デパート
 わが作品『日々ロック』、台湾へ!!

     日本文化への興味“実感”

 年が明けても『日々ロック』してます! 先週末に台湾の映画配給業者である又水整合設計有限公司からご招待を受け、主演の野村周平さんと入江悠監督と共に、2泊3日で台北へ宣伝キャンペーンに行ってきました。台湾では日本映画はあまり劇場公開されず、DVDでの発売がほとんどなのですが、現地で野村さん人気が非常に高いため、3月に劇場公開されることが決まったのです。

 僕自身は10年ぶりの台湾訪問で、仕事では初となりました。日本と同じように、新聞、雑誌、ウェブなどさまざまなマスコミ媒体向けに、野村さんや入江監督のインタビューをこなしていきます。

 新光三越デパートで行われた野村さんのファン向けイベントでは、100人近い女性客が集まり、台湾の若い女の子は日本語で野村さんに直接話しかけるなど、予想以上に近い距離感に驚きました。

 なんと、車で4時間もかけて駆けつけた女性客も。事前に質問を確認し、丁寧な打ち合わせを行う日本と違い、ぶっつけ本番な内容でドタバタしたものの、なんとかうまくいきました。台湾では、日本以上にこまやかなファンサービスが重要となることがわかりました。逆に大いに学ぶことができたように思います。

 ちなみに、ここ10年での台湾映画マーケットの大きな変化が報道されています。過去にはホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、アン・リーなど名匠監督を生み出してきた台湾ですが、日本と同じようにヒットするのはハリウッド映画が中心でした。ところが近年、自国製作の映画がヒットするという状況に変化してきています。

 特に大ヒットとなったのは『セデック・バレ』『あの頃、君を追いかけた』です。『セデック・バレ』は日本統治下の台湾での先住民による抗日暴動事件を前後2部作としたもので、賞も総ナメにしました。『あの頃、君を追いかけた』は、人気小説家が監督としてデビューした青春映画です。

 社会事件と青春という両極端なジャンルの作品ですが、世界マーケットを対象にした映画ではなく、自国の観客をしっかり見つめた視点の変化を感じます。

 そして今回初めて出会った台湾の宣伝スタッフと話しながら、日本文化への興味もひしひしと感じました。国家を超えて、文化交流をし、人々と出会うことができる-。これも映画の醍醐味(だいごみ)です。実は僕も、アジアの別の国とも合作の企画を進めています。ますます日本映画界とアジア映画界の交流が広がることを願っています。

 (松竹映像本部 映画プロデューサー・石塚慶生、米子市出身)

2015年2月13日 無断転載禁止