紙上講演 東洋学園大教授 朱 建栄氏

東洋学園大教授朱 建栄氏
中国の現実は?そして日中関係の行方
              ~正念場の安倍外交


  歴史や変遷相互理解を

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が12、13の両日、浜田市と益田市であった。東洋学園大(東京都)教授の朱建栄氏(57)が「中国の現実は?そして日中関係の行方~正念場の安倍外交」と題して講演。日中両国の関係改善に向け、双方の歴史や変遷を知る必要性を唱えた。要旨は次の通り。

 昨年11月、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が会談したことで、日中関係の悪循環にストップが掛かった。その後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場で習氏が安倍首相に手を差し出し、「1回目は初対面だが、2回目以降は友人ですよ」というようなことを言った。中国側が日本との関係を良くしようとしているのは間違いない。

 習氏は日本と経済交流した経験があり、日本経済の力や良さを分かっている。一方で、父親が日中戦争で日本と戦ったことや、自身が戦後の日本の変化について十分理解してないことから、日本がいつか戦前のようになるのではないかという思いを持っている。

 日中間には歴史問題と尖閣諸島(沖縄県)の領土問題がある。この二つは、何とかふたを閉めてくすぶらないようにし、それ以外の関係の補完面を拡大していくことが大切だ。

 日本人は中国を十分に理解していると思わないし、逆も同じ。1980年ごろのアンケートで日本人の8割が中国に好感を持っていた。当時の日本人は中国の現状を知らず、三国志や万里の長城などのイメージで中国を見ていたからだ。

 交流が密接化した現在、変遷や文化の違いなどを理解しないまま中国の現状を目の当たりにし、「どうして、こんなふうになるのか」と感じるのだと思う。互いを理解するには、歴史や変遷を知り、その視点を持って見ることが必要だ。

2015年2月14日 無断転載禁止