出雲市立佐香小学校 佐香の魅力巨大新聞に

 出雲市立佐香小学校(同市坂浦町、岩谷健一校長)は、海や山に囲まれた素晴らしい自然の中、標高165メートルの高台に校舎があります。校舎からは日本海が一望でき、晴れた日には隠岐諸島も見ることができます。梅雨時期にはモリアオガエルが産卵のために山から下りてきます。校区内の小伊津港付近には、地層や化石で有名な所もあります。

 佐香小学校では3年前から、3、4年生が総合的な学習の時間に、ふるさと、佐香地区の良さを探す学習をしてきました。3年目の本年度は、今までの学習の集大成として、全校児童で一致団結して発信しようと、「巨大新聞作り」にも挑戦しました。本年度の3、4年生の活動、全校で取り組んだ「巨大新聞作り」を紹介します。


赤浦海岸や一畑薬師 「与市伝説」舞台歩く

全校遠足で行った赤浦海岸で記念撮影
 全校児童で取り組んだ「巨大新聞作り」の活動を紹介します。巨大新聞とは、畳1畳分もある巨大な新聞です。新聞を作る前に、ぼくたちは全校遠足で赤浦海岸や一畑薬師に行きました。

 坂浦の町から海沿いの山を登り始めました。途中には「与市伝説」のある千把(せんば)が滝が見えました。道は登ったり下ったりが激しくて、険しかったです。赤浦の海岸近くには下りの階段がありました。

 1時間くらい歩くと、赤浦の海岸に着きました。赤浦には赤い石があります。その石を持って帰ると、目が見えなくなるという言い伝えがあります。だから、誰も持って帰りませんでした。

全校遠足で出掛けた赤浦海岸で、金折さんの説明に耳を傾ける児童たち
 遠足では「佐香の歴史と文化を伝承する会」会長の金折徹也さんがガイド役を務めてくださいました。着いたらまず、金折さんの話を聴き、その後、海で遊びました。

 海にはウニがたくさんいました。ちょうど地元の漁師さんが漁をしておられて、ウニを分けてくださいました。ぼくたちは、海岸でウニを食べたり、貝みつけをしたり、石投げをしたりして遊びました。赤浦ではアワビ、サザエなど、いろいろな生き物がとれるそうです。

 午後には一畑薬師にも行きました。そこでも、和尚さんから与市伝説のことを聞きました。与市伝説の天井絵や、与市さんの木像がありました。

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縦割り班ごとに巨大新聞作りに取り組む児童たち
 昨年11月にぼくたちは巨大新聞を作りました。まず、六つの縦割り班に分かれて、新聞作りを分担しました。低学年は絵をかくこと、中学年は記事書き、高学年は見出しと記事の下書きを担当しました。作る時には、新聞記者さんに教えてもらいながら進めました。とても大変だったけど、3時間かけて、みんなで協力して作ることができました。

 巨大新聞は、学習発表会で体育館に飾って、保護者の方や地域の方々に見てもらいました。その後は佐香コミュニティセンターで飾ってもらっています。

(4年・金築彩華、芥屋朋紀)



佐香に伝わる「与市伝説」

「与市伝説」にも出てくる赤浦海岸の赤石(中央)
【母の目を治した与市】

 むかしむかし、佐香に「与市」という漁師がいた。与市は目の見えない母とくらしていた。

 ある日、与市が赤浦の海で漁をしていると、どこからか、みさごが飛んできた。みさごの飛んでいる場所に舟を進めると、そこには見たことのない木仏が浮いていた。

 与市はその木仏を家に持ち帰った。ある晩、与市が寝ていると、枕元に光り輝く仏像のような姿の人が現れ、「与市、百丈が滝から飛び降りよ。そうすれば、そなたの母の目も治るであろう」と言った。

 与市は、母の目を治すために、百丈が滝から飛び降りることにした。与市を案じた村の人たちは、無事を祈って、与市の体に千束のかやを巻き付けた。与市は百丈が滝から飛び降りたが、奇跡的に無傷であった。そして、母の目は見えるようになった。それ以来、百丈が滝を千把が滝(出雲市坂浦町)と呼ぶようになったとのことである。


一畑薬師開祖の補然和尚木像
【木仏を安置した与市~キツネがばけて】

 与市が海から引き上げた木仏は、その後、与市の家に置かれるようになった。しかし、木仏を置いてからは、家がぐらぐら揺れたり、嵐がきたり雷が鳴ったりと、不思議なことばかりが続くようになった。

 ある日、与市の家に旅の僧侶が訪れて、こう言った。「その木仏は薬師如来様である。しかるべき場所に安置するべきである」。そこで、与市は木仏を背負い、安置する場所を探した。

 山を登っていくと、3人の幼い子どもたちがいて、「こっち。こっち」と手招きをしている。子どもたちの行く方に進むと、ある場所で3人が姿を消した。次の瞬間、子どもたちの代わりに3匹のきつねが姿を表した。そして、山の中に去っていった。

 与市は不思議に思いながらも、その場所から少し奥に進んだ所に木仏を安置し、お堂を作った。それが後の一畑薬師である。与市さんはその後、一畑薬師の初代補然(ほねん)和尚になった。


【ふしぎな酒だる】

 また、ある時、与市が漁をしていると、たるが浮いていた。海から引き上げて家に持って帰った与市は、そのたるでお酒をついでみた。すると、ふしぎなことにお酒が10倍に増えた。しかも味もばつぐんにおいしくなり、その味を求めてたくさんお客さんがくるようになった。与市はお酒を売ってお金持ちになった。



巨大新聞作りを通して~佐香っ子の感想~

縦割り班で共同製作した、畳1畳分もある巨大新聞
 〇ぼくは、みんなで作っているときに、たのしいなとおもいました。(1年・岡優成)

 〇お兄さんやお姉さんと作って楽しかったです。むずかしかったところは絵をかくところです。(2年・金森りん花)

 〇わたしは、巨大新聞を作って佐香のことが広まるのがうれしいです。(3年・金築永利加)

 〇巨大新聞作りは、大変だったけど、ちゃんとうまく完成できてよかったです。ぼくが書いたところは一畑薬師の記事のコラムです。できてうれしかったです。(4年・郷原柊太)

 〇いろいろな伝説や赤浦のことを書いて、いい新聞ができたのでよかったです。(5年・山岡陸)

 〇新聞の作り方やまとめ方について、いろいろ教わったので、楽しくまとめることができました。(6年・木■(キヘンに免)野々花)

 〇あんなに大きな新聞を作るのは初めてで、最初は心配だったけど、みんなに見てもらえるほど上手にできたのでうれしかったです。(6年・南場柚希)



出雲大社を訪れた観光客に佐香の良さをPRする児童たち
出雲大社で観光客に発信 写真や紙芝居工夫凝らす

 昨年9月、3、4年生は、佐香の良さを発信するために、出雲大社に行きました。

 まず、行くまでに発表の準備をしました。上手に伝えられるように、教室で何度も練習しました。伝わるような工夫もしました。写真を持ったり、分担して説明したり、手作り紙芝居のコピーを見せたりするようにしました。

 当日は1時間くらいの発表でした。観光客の人たちの中には、大阪や京都、九州など、遠くから来ておられる方もたくさんおられました。中には元出雲市長さんや外国の方もおられました。三つの班に分かれて発表しました。どの班もたくさん練習したので、その成果が出て上手に伝えることができました。

 聞いてくださった方の中には、感想を言ってくださる方や、手紙などを佐香小学校に送ってくださった方もおられ、とてもうれしかったです。

 忙しそうな方には昨年度の3、4年生が作ったリーフレットを配りました。リーフレットは200部持っていきましたが、全部なくなりました。 (4年・南場皆人、廣戸悠)



ニュース番組1週間かけ制作

 ニュース番組を作って発信もしました。キャスターやリポーター、インタビュアーなどと役割分担して、7分ぐらいのニュースを作りました。ニュースは何度も間違えてしまって、9回目にようやく成功しました。成功したニュースは、授業公開の時に子どもたちと保護者さんと地域の人たちとで見ました。

 このニュースができるまでには1週間ぐらいかかりました。みんなでたくさん練習して、自分のせりふを覚えたり、直したりしました。みんな、元気な声でせりふを言うことができました。(3年・青山海輝、赤名まどか)


リーフレットも

 3、4年生で、佐香地区の良さをまとめたリーフレットを作りました。リーフレット作りも本校では2回目。今年は手書きバージョンとパソコンバージョン(パソコンバージョンは先生がパソコンで作りました)の2種類ができました。



NIEでふるさと学習 みんなで達成充実感味わう

吉廣恭由子教諭
 佐香小学校は、本年度初めてNIE教育の実践校に指定されました。そこで、本校でできるNIE教育を教職員で考えました。

 本校は全校児童41人の小規模校です。小規模校ならではの、クラスを超えた、全校の活動が何かできないかと考え、全校での新聞作りを計画しました。

 記事は、やはり、ふるさと佐香のことがよいということになりました。そこで、佐香の良さをまずは全校で味わおうと、与市伝説の舞台、赤浦海岸に全校で出かけることにしました。そして、そこで発見したことと、3年間にわたる3、4年生の活動から発見したことに加えて、巨大新聞作りに挑戦しました。

 新聞作りには基本的な知識がいります。NIE教育1年目の本校は、教職員も子どもたちも新聞作りがよく分かりませんでした。そこで、2度にわたり新聞教室を開き、新聞記者さんを講師に迎えて、新聞作りを基礎から学びました。

 新聞教室や新聞作りを通して、全校みんなで一つのことを成し遂げることの充実感や達成感を味わいました。平成28年度からは近隣の久多美小学校との統合が決まりましたが、いつまでも、ふるさと佐香の良さを分かりやすく内外にアピールできる佐香っ子でいてほしいと願っています。

(NIE担当・吉廣恭由子)

2015年2月24日 無断転載禁止

こども新聞