わが家のシェフ 食べることに興味持って

小学校で行った味覚の授業で「五味」について話す山口雄三さん
小学校で長年、味覚(みか)の授業

 2014年4月から1年にわたり続けてきた企画(きかく)も今回が最終回となりました。わたしの活動について紹介(しょうかい)します。わたしはレストランで料理を作ることのほかに、06年から「しまねリトルシェフ」の一員として、島根県内の小学校で味覚(みかく)の授業(じゅぎょう)を行っています。

 授業では子どもたちに塩、酢(す)、カカオ、砂糖(さとう)、かつお節を食べてもらい、それぞれ塩味、酸味(さんみ)、苦味(にがみ)、甘味(あまみ)、うま味を舌(した)で味わいます。この授業で一番伝えたいのは、食べることに興味(きょうみ)を持ってほしいということです。

 舌にある食べ物の味を感じる小さな器官「味蕾(みらい)」は、小学6年ころにはピークの3~4万個に増えます。このころ、心や体も大きく成長します。この時にインスタント食品やうま味調味料でなく、食材の本物の味を知ることが大切なのです。

 また、東日本大震災の被災地(ひさいち)を訪(おとず)れ、食で子どもたちを元気づける活動も行っています。被災から3カ月後の11年6月に全国各地のシェフたちと宮城(みやぎ)県気仙沼(けせんぬま)市内の小学校を訪れ給食を提供(ていきょう)しました。

 ご飯と牛乳だけの給食が続いていた子どもたちは、わたしたちが作ったハンバーグカレーライスやサラダ、スープをほお張(ば)り、おいしいと笑顔を見せてくれました。涙(なみだ)が出るほどうれしかったです。

 被災地訪問は今でも続いており、年に2回、子どもたちと食事を通して交流しています。味覚の授業で島根県内の小学校を訪れる際(さい)は必ず被災地の子どもたちの様子を伝えます。食事のありがたさや助け合う気持ちの大切さを話します。

 味覚の授業を通し、子どもたちが食で元気になってほしいと願っています。そして、授業を受けた子どもたちが大人になり、親になったときに自分の子どもに食べる楽しさを伝え、食事を一緒(いっしょ)に楽しむ時間を大切にしてほしいです。これらの活動を続けることが料理人としての使命だと感じています。

 (出雲市の「ランコントレ」シェフ・山口雄三)  =おわり=

2015年3月18日 無断転載禁止

こども新聞