横田高「だんだんカンパニー」5年目

 地域活性化を目標に始まった島根県立横田高等学校の仮想会社「だんだんカンパニー」(社長・陶山浩正校長)の活動が、平成26年度で5年目を迎えた。本年度は2年生【1】類型クラス64人が社員になって取り組み、従来のブルーベリージャムの製造・販売に加え、本年度から新たに仁多米の栽培・販売も始めた。普段食べている仁多米の価値をあらためて知り、そのおいしさをさらに広めたいという思いがあったからである。

 また、ブルーベリージャムは例年と違い、今回は生徒がデザインしたかわいらしいラベルやタグを容器に使用するといった工夫を凝らして商品化した。東京販売ではブルーベリージャム、仁多米など、過去最高の売上額を記録することができた。「だんだんカンパニー」5年目の活動を紹介する。            (内田梨絵)


町特産「仁多米」販売計画が始動 東京研修でPR 首相夫人に贈る

首相公邸で安倍昭恵首相夫人に手作りのブルーベリージャムと仁多米を贈呈
 5年目を迎えた「だんだんカンパニー」では、本年度から新たに地元・奥出雲町の名産品である仁多米を販売することになった。そのため、「仁多米プロジェクトチーム」を結成し、販売に向けて活動を始めた。

 昨年5月には数人の生徒が地域の人と一緒に田植えをし、9月には全員で稲刈りとはで干しを行った。さらに、米の販売価格決定や袋詰め作業、ラベルのデザイン選定など、全て生徒の手によって行った。仁多米販売については、本年度から新しく始まったため、前年度の事例がなく、東京ではどのくらいの値段で売れるのかと、価格決定にとても苦心した。

客の質問に答え、ブルーベリージャムと仁多米のおいしさをPRする生徒たち=東京・有楽町マルシェ
 販売当日は、事前に調べてきたことや研修での経験を生かし、仁多米のおいしさが伝わるよう接客した。また、試食でおにぎりを作ってお客さんに配るなどし、仁多米のおいしさを伝えた。実際に食べたお客さんからも「おいしい」と、とても好評だった。最初は売れるか不安だった仁多米の販売だったが、生徒の一生懸命な接客により、たくさん売り上げることができた。

 また、東京研修の2日目には首相公邸を訪問し、安倍昭恵夫人にブルーベリージャムと仁多米を届け、その後、約1時間にわたり交流した。夫人にブルーベリージャムと仁多米を渡すと、「自分たちで作ったの?」「とってもおいしそう」などとの感想をいただいた。

 「だんだんカンパニー」の活動のことについてはもちろん、将来の夢や、人と人とのつながりの大切さなど、これからの人生のためになる大切なお話もしていただいた。めったにない貴重な体験に、生徒はとても緊張していたが、すごく有意義な時間を過ごすことができた。

 本年度は過去5年間の中で最高の売上額を記録することができた。仁多米を販売することによって奥出雲町もPRすることができ、生徒たちにとっても、故郷のことをあらためて知ることができ、とても良い経験になった。

 この経験をこれからの進路選択や、社会人になってからの生活に生かしていきたいと思う。    (石原南魅)


初めての仁多米収穫作業 はで干しでおいしさ凝縮

刈り取った稲をはで干しする生徒たち
 「仁多米」とは、島根県仁多郡奥出雲町で収穫される最高級銘柄であり、「東の魚沼、西の仁多米」と称されるほど、おいしさで定評があるお米である。そのおいしさのひけつは斐伊川源流のミネラルを含んだ清らかな水、そして標高が300~500メートルと高く、昼と夜との寒暖差が大きいためでんぷんがしっかりと蓄えられ、うまみのあるお米になると言われている。

 今回、私たちは「はで干し」という作業を行った。はで干しとははでに稲をかけ、時間をかけて稲を乾燥させる方法である。はで干しをすることででんぷんが凝縮され、仁多米特有のおいしさにつながる。

 だが、最近では機械を使っての乾燥が主流で、時間がかかるはで干しをしている農家が少なくなっている。そのため、はで干し米はより高価なものとなる。今回、私たちが収穫した田の広さは20アールで、収穫量は1040キロだった。

 お米は450グラムが630円、3キロが3900円、5キロが6000円という、少し高めな値段で販売した。  (内田梨絵)


糖度保ちジャム作り ブルーベリー 生徒が収穫瓶詰め

ブルーベリージャムの瓶詰め作業を行う生徒たち
 昨年7月17日、「だんだんカンパニー」の社員である生徒自らがブルーベリーの収穫を行った。前年に引き続き、天候不順の影響で実りが悪くて収穫量が心配されたが、ブルーベリー栽培農家の方々の協力のもと、数回にわたって収穫した。

 そして、7月末には地元のジャム作りのベテラン(ジャムジャムクラブ)の方々に指導していただきながら、製造・加工作業を行った。

 作業では、ブルーベリーの食感を残すために添加物を極力使わず、甜菜(てんさい)糖だけを使った。甘くなりすぎないようにするため、糖度も40度に保つよう注意しながら作業を行った。また、滅菌処理を行った瓶にふたをする際に、空気流入を防ぐことにも苦労した。

 ジャム作りは暑い中行われ、苦労の結果、180グラム入りのブルーベリージャム665本が完成した。

 そして、このジャムを地元や東京で販売した。商品の説明や接客をすることはとても難しく、苦労したことも多かったが、社員たちの頑張りで636本のブルーベリージャムを売ることができた。

 ブルーベリージャムを買ってくださった方々からは「甘すぎず、さっぱりしていておいしかった」「ラベルが例年に比べてかわいくて良かった」「粒もあってヨーグルトとの相性もよく、とてもおいしかった」などの声を聞くことができた。

 ブルーベリーの収穫からジャムの製造・販売作業の一連の活動を通して、社員一人一人がその大変さや責任感など、さまざまなことを学び取り、これからの将来の視野を広げる良い経験となった。  (赤名美香・安部ななこ)


瓶のデザインを大改造 タグ、シールテープ高級感の演出に工夫

タグとシールテープにデザインを一新したブルーベリージャム
 昨年度までブルーベリージャムのデザインは「ラベル」と決めて活動していたが、本年度のデザイン部はひと味違った。「価格に対して高級感がない」-これが最初のひと言。そこから、どうしたら高級感が出るのか、商品の良さを伝えられるかを何度も話し合った。

 デザイン専門学校の先生に話を聞いたりして出した答えが、シンプルで中のジャムが見える「タグとシールテープ」だった。そこからは「地元の方言を取り入れたい」など、タグ担当者でいくつかの案を出し、業者と何度も話し合いを繰り返した。

 そして、完成したのが今回のタグデザインだった。社員や先生からも好評で、実際に販売した時もジャムを見ている人もあり、中身が見えやすくした結果が出たと思う。   (加納日生)


総売上額過去最高の50万円

 「だんだんカンパニー」が昨年11月19、20日に行った東京販売での仁多米の総売上量は96キロで、売上額は13万140円(出店料などは差し引かず)だった。また、ブルーベリージャムの総売上本数は、東京、地元販売などを合わせて636本だった。仁多米とブルーベリージャムの総売上額は49万9876円で、過去最高だった昨年度の41万5000円を大幅に上回った。

 一方、本年度から取り組みを始めた仁多米の販売だったが、販売終了後「設定価格が高すぎたのではないか」という意見が多くの社員から出た。パッケージについても「インパクトに欠けている」など多くの意見があり、来年度に向けて多くの課題が残った。

 東京販売の日は、突然の雨が降りだすなど、悪天候の中での販売となったが、そのような中でも一人一人が一生懸命に接客した。結果的に目標の完売には届かったが、社員一人一人が何か自信をつかんだような、そんな顔をしていた。  (加納日生)


編集後記

 このたび新聞を製作するに当たっては、初めての作業で分からないことも多くて戸惑いましたが、何とか成し遂げることができました。

 本年度で5年目を迎えた「だんだんカンパニー」の活動を通して、商品を販売するという、実社会を学ぶ貴重な体験ができました。本年度からはブルーベリージャムに加え、新たに仁多米も販売することになり、過去5年間の中で売り上げが最高額となりました。これも、地域の皆さまや先生方の協力のおかげです。

 来年度はブルーベリージャムと仁多米を完売して、さらに売り上げを伸ばしてほしいです。これからも横田高校とだんだんカンパニーを末永くよろしくお願いします。

 (赤名美香、安部ななこ、内田梨絵、石原南魅、加納日生)

2015年3月24日 無断転載禁止

こども新聞