映画プロデューサーのささやかな日常(25)

筆者が撮り、ツイッターにアップした東京・目黒の桜。前向きな意見と行動の大切さを思う春
 ツイッター時代の作り手と消費者の関係

     望まれる前向きな意見

 映画の感想をツイッターでつぶやくことが日常的になりました。ツイッターが誕生してから10年近く。「伝えたいことを簡単に自分の言葉で世界に表明できる」。それまで考えられなかったようなことが、誰にでも普通にできる世の中になりました。

 映画製作を行っている側の身としては、正直、「荒れる」ことが多いインターネットの掲示板などを読むのは辛いことも多く、なるべく見ないようにしていました。しかしツイッターが浸透してからは、ある程度距離感を保ちながらも読むようにしています。

 褒めてもらったときはうれしく、けなされたときは落ち込みます。しかし、お金を出して見てくださった方々のコメントなので、受け止めることも仕事ではないかと思っています。

 皆さんも車や家電などの商品を購入する前に、アマゾンなどで評価を調べたりされると思います。レストランも「食べログ」などで点数評価を知り、参考にできるようになっています。僕もこれらのシステムを使っている立場でもあり、実際、5段階評価で3点以下だと買うのや行くのをやめてしまうこともあります。

 ですが、あらためて考えると、この点数はあくまでも「平均点」。すごく気に入った人と気に入らなかった人とがいても、それぞれの「想(おも)い」は平均にならされてしまう。お店によって点数を入れている人が少ない場合と多い場合がありますし、特定の人たちが書き込んで点数を上げる可能性だってあります。

 作り手側の願いとしては、「商品やサービスを評価する」ということは、その場限りのカタルシスで終わるのではなく、この部分を改善してもらいたい、という意見でもあってほしいと思います。それを作り手は読み、以後に反映させていくことも、こうしたシステムの持つ大きな意味の一つではないでしょうか。

 人を教育するときはしかるだけではなく、褒めることがより重要だと言われます。それと同じで「この部分が使いやすいが、この部分はダメ」などを伝える方が、作り手と消費者のお互いのためになるのではないでしょうか。

 とはいえ、やっぱり自分の目で見て、できれば経験して選ぶことがどんな時代でも最も有効なことなのではないかと思います。「百聞は一見にしかず」。あらためて思うに、けだし名言です。

 これには、後に加えられたこんな続きがあるそうです。「百見は一考にしかず」(たとえたくさん見ても、考えることにはおよばない)、「百考は一行にしかず」(たとえ考えても、「行動」にはおよばない)。

 否定的な意見をただ言い放つだけでなく、今後につなげる前向きな意見や行動が互いをよりよく変えていけるのではないか。そんなことを思う春の日です。

 (松竹映像本部 映画プロデューサー・石塚慶生、米子市出身)

2015年4月10日 無断転載禁止