紙上講演 ノンフィクション作家 小松成美氏

ノンフィクション作家 小松成美氏
一流とは何か~アスリートたちの真実

  言葉や意志活躍の原動力

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が23、24の両日、浜田市と益田市であり、ノンフィクション作家の小松成美氏(53)が「一流とは何か~アスリートたちの真実」と題して講演した。取材した選手たちの活躍の原動力となっている印象的な言葉や姿勢を取り上げ、スポーツの魅力を伝えた。要旨は次の通り。

 島根県と言えばテニスの錦織圭選手。実は、6年前に取材した時、ここまでの選手になるとは思わなかった。しかし、専属コーチのマイケル・チャンの言葉が精神面での成長を促した。「自分を信じなさい」「自分でやるしかない」と繰り返し叱咤(しった)激励を受け、厳しい練習や試合を経て助言を自分のものにし、昨年の全米オープンで準優勝の快挙を成し遂げた。

 10年間取材を続けたサッカー元日本代表の中田英寿選手は「必ずW杯に連れていく」と言った。生意気で礼儀知らずだと批判もされたが、すべてのサッカーファンのために勝利を目指す姿勢に、強い意志を感じた。5年間密着取材したイチロー選手の神髄は「挑戦」。日本人投手だけでなく、野手もメジャーリーグで活躍できることを証明したい、というチャレンジ精神を燃やして海を渡り、素晴らしい記録を打ち立てている。

 「レジェンド(伝説)」と称されるスキージャンプの葛西紀明選手は「後悔する力がエネルギー」と語った。日本中が歓喜した長野冬季五輪で、団体金メダルの輪に姿はなかった。けがで復調できず、団体メンバーから外れ、亡き母との約束を果たせなかった。「いつまでも後悔するな」ではなく、悔しさを毎朝思い起こし、若手よりも厳しい練習を課しているという。

 取材を通し、アスリートたちのパフォーマンスは、彼ら自身が持つ精神性に大きく支えられていることに気づかされる。

2015年4月25日 無断転載禁止