レッツ連歌(下房桃菴)・5月14日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 我(あれ)を措(お)きて人はあらじと誇ろへど

お局さまにアゴで使われ    (川本)栂野  菊

やさしいだけで飯は食えるか  (松江)川津  蛙

たわごと言わず子守りしなはれ (出雲)栗田  枝

いずれはだれも天に召される  (浜田)三隅  彰

供託金があれば出たのに   (津和野)岡田 忠良

柳行李を開けて虫干し     (浜田)勝田  艶

除名されてもバッジははずさぬ (松江)野津 重夫

都構想にも賛否両論      (松江)安東 和実

レッツ連歌はボツの連続    (出雲)放ヒサユキ

金の成る木は生えてこぬもの  (松江)原  野苺

ああ腹減ったなにかください  (松江)石川  倫

ひとりじゃ勝てぬむかで競走  (出雲)野村たまえ

チョットチョットと呼ぶな名がある
               (雲南)安部 小春

フタを開ければたった一票   (益田)吉川 洋子

見えぬガウンを羽織る肌寒(三重・伊勢)木村 ふう

格差是正は夢のまた夢     (松江)本田  章

木曜までの夢のまた夢     (松江)坂本 美恵

羽を切られた堀の白鳥     (松江)余村  正

逃げ道作ってくれている妻   (松江)佐々木滋子

金がなくなりゃ妻も出てゆき  (出雲)吾郷 寿海

それにつけてもボツの多さよ  (松江)加茂 京子

開幕前に起きた腰痛      (松江)岩田 正之

このごろなぜか涙もろくて   (江津)花田 美昭

ヒラで停年迎えましたワ    (美郷)源  瞳子

上ばかり見て石につまずく   (浜田)滝本 洋子

まだ治らない爪を噛むクセ   (益田)石川アキオ

ウサギ小屋から犬の遠吠え   (出雲)黒田千華子

孫の前ではただの育ジイ    (松江)森廣 典子

担ぎ出されて祭り上げられ   (益田)可部 章二

一度は軽く辞退してみる    (益田)黒田ひかり

桜ツツジと時は過ぎゆき    (松江)高木 酔子


           ◇

 重夫さんの句は、もと、バッジを「はずさず」とあったのを、「はずさぬ」と直させていただきました。同じじゃないかって? ほぼ同じではありますが、あえていえば、「はずさず」のほうは客観的な事実の描写、「はずさぬ」となると話し手の意思の表示と解釈されることが多いようです。つまり、前者は第三者の、後者なら当人の発言と受け取れそう、ということです。小むずかしい理屈をこねて、すみません。

 むかで競走が「ひとりじゃ勝てぬ」のは当然ですが、たまえさんの句、前句が実によく活かされている。100メートルを10秒で走っても、なんの手柄にもならないわけで…。悔しいですね。

 ふうさんの句は「裸の王様」―。憶良からいきなりアンデルセンへ飛んだところが面白い。その上、もとのオシャレの話題から、衣服本来の機能(防寒)に焦点が移っているのですね。新しい挿絵が描けそうです。

 千華子さんの句は、内容だけからいえば付きすぎかもしれませんが、「ウサギ小屋から犬」、ということばのマジックに魅かれました。

 ひかりさんの句は、「一度は」の「は」―。二度目を期待している下心がミエミエ! それでいて二度目は実はなかったのだと、この句を正しく解釈できるかどうか、それはひとえに、読者の力量次第です。

           ◇

 次の前句は、

  重要なお知らせですというメール

 このところ五七五の前句が続きますが、付句七七の下の七が、四・三と切れないようにご注意ください。

 早い話がきょうの入選句―。「アゴで・使われ」「飯は・食えるか」などなど、ほとんどが三・四のリズムになっております。もちろん、二・五または五・二でもかまわないのですが、四・三だけは納まりが悪いように、私には感じられます。

 (島根大学名誉教授)

2015年5月14日 無断転載禁止

こども新聞