2014年回顧「変」(上) 男子テニス“新時代”

初出場のツアー・ファイナルで今季の「集大成」を見せた錦織圭。王者ノバク・ジョコビッチ戦も強烈なフォアで渡り合った=ロンドン(AP=共同)
負けじ魂が扉を開く

 「ビッグ4」崩れる-。11月中旬、ロンドンのO2アリーナに男子テニスのトップ8が競う最終戦ツアー・ファイナル。錦織圭(24)=日清食品、松江市出身=が初戦で過去3戦全敗のアンディ・マリー(英国)を相手に見せた圧勝劇で、確信した。時代はもう変わったのだ。

 9月の全米オープン。準決勝で世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破り、準優勝。日本人で初。何年もビッグ4が名を連ねてきた四大大会ファイナリストの座を奪う、快挙だった。

 破竹の勢いは秋以降も続いた。ツアー2週連続優勝を果たし、11月初旬、世界ランキングは5位に。日本男子初のトップ10入りが5月だったから、驚く。

 ファイナルは4強入り。絶好調のジョコビッチと相まみえた準決勝は、松江市内のパブリックビューイングで見た。ロンドンは2万の大観衆。青白い光が照らすコートで、強烈なフォアハンドに意表を突くドロップ、計算されたロブが王者を振り回し、大会でただ一人セットを奪った。

 「フォアを警戒すると、バックを突かれる。ジョコビッチは何もできなくなっていた」。長く錦織の試合解説を務め、この日も現地にいた土橋登志久氏(48)=早大庭球部監督=の驚きが、電話を通じて伝わってきた。

 ビッグ4の一角、ラファエル・ナダル(スペイン)と、1月の全豪オープンで大熱戦。敗れはしたが、錦織はかつてない手応えをつかんだという。

 1年の「集大成」となるファイナルの舞台での身にまとった自信あふれるプレーに、土橋氏は「今までの成長と段違いのスピード」と舌を巻いた。

 全米準優勝の後、マレーシア・オープンを制し凱旋(がいせん)となった楽天ジャパン・オープンに出場した錦織に、試合後の会見で、地元記者として聞いてみた。

 全国3冠の小学校時代から、今につながっていることは-。答えは「当時から負けず嫌いだった」。度重なるけがも乗り越え、持ち前の負けじ魂が新時代の扉を開いた。

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 錦織旋風が巻き起こった2014年。トッププレーヤーの階段を駆け上がり、頂も見えてきた。錦織が自身の1年を振り返り、選んだ漢字一文字は「変」。変化、変貌、変革。担当記者が見て、聞いた、新時代の始まりを回顧する。

2014年12月27日 無断転載禁止

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