2014年回顧「変」(中) 成長の跡

自分を信じ接戦で力

 3年前、スイス室内でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破って以来、たびたび上位選手たちを打ち負かしてきた錦織圭(24)=日清食品、松江市出身。トップクラスの力があることは分かっていたが、ぬぐえない懸念があった。

 トップ選手からの勝利は大半が3セットマッチ。5セットで勝負をつける四大大会で戦い続けられるのか。度重なるけがも、体力面に対する不安を増幅させた。

 だから、日本勢初の準優勝に輝いた全米オープンのパフォーマンスは、うれしさに加え、驚きも大きかった。日本男子92年ぶりの8強進出を果たした4回戦、96年ぶり4強を決めた準々決勝と2戦連続4時間を超えるフルセットの末、勝利。懸念は完全に払拭(ふっしょく)された。

 全米後、国内初戦となった楽天ジャパン・オープンでツアー2週連続優勝を果たした後の会見で、錦織本人も「全米オープンで5セットの試合や2週間戦えたことが強い自信になっている」と語った。

 決勝の後、錦織はスタンドのマイケル・チャンコーチに駆け寄った。抱き合い、感極まって涙。今季からコンビを組む、元全仏王者から厳しいトレーニングとともに学んだという「自分を信じる気持ち」があったから、連戦の疲れで極限状態にある中でも、本人の言う「負けず嫌い」を力に変えられたのだろう。

 3、5セットの試合を合わせ、今季フルセット戦の勝率は、11月のATPツアー・ファイナル準決勝でジョコビッチに敗れるまで9割超。最終的に87・5%(24試合)の数字を残した。

 タイブレークの奪取率65・5%にも、成長は表れた。昨季の16セットから29セットに増えてなお、9・3ポイントアップ。勝負強さは本物だ。全米の準決勝、ジョコビッチ戦は第3セットのタイブレークを奪い、勢いづいた。

 一番の弱点だったサーブは、エースが1試合平均2・6本から4・3本に。昨季は、同2・8本(今季も同数)のダブルフォールトの方が多かったのだから格段の進歩だ。世界ランク17位から始まった今季、現行制度でアジア男子初のトップ5まで駆け上がった。

 全米の快進撃に松江市内で行われた未明のパブリックビューイングに集結した地元ファンは歓喜した。「最後は勝ってくれる」。大熱戦の連続で、歴史を塗り替えた一年。「絆」のような信頼感は、大きな感動に変わった。



2014年12月28日 無断転載禁止

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