2014年回顧「変」(下) 圭に続け

錦織圭の小学生時代に始まった島根県テニス協会のジュニア強化練習会。「先輩」の活躍に子どもたちの目も輝く=松江市営庭球場
刺激受け後輩ら育つ

 錦織圭(25)=日清食品、松江市出身=の「凱旋(がいせん)」初戦となった、9月30日の楽天ジャパン・オープン男子ダブルス。「錦織組8強入り」が大きく報じられる中、いつもならトップ級の大金星が控えめにニュースになった。

 男子シングルス1回戦、世界ランキング4位のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)に、同103位の伊藤竜馬(26)=北日本物産=がストレート勝ち。

 錦織の全米オープン準優勝は日本人選手の可能性を体現した。ワウリンカは錦織が全米の準々決勝でフルセットの末下した相手。スタンドから見ているこちらの驚きの「沸点」は、より高くなった。

 有明コロシアムに連日、記録的な大観衆が詰め掛ける中、伊藤も「このチャンスをつかんで波に乗りたい」と、殊勲の星を挙げた。

 現在93位の世界ランクは日本男子で錦織に続くが、昨季は160~170位台で低迷。時速210キロ超のサーブと強烈なフォアハンドを武器に上昇気流をつかもうとしている。

 錦織とダブルスを組んだ内山靖崇(22)=同=は「強すぎるくらいの刺激」を受けた、という。小学6年生で全国3冠。その後、米フロリダ州のアカデミー留学。錦織はトッププロを目指し「同じ道」を歩んできた先輩だ。

 現在ダブルスで日本人トップだが、あくまでもシングルスが主戦場。200位台に甘んじる現状打破へ、刺激は力になる。錦織とのペアは日本初の初戦突破で8強入りをつかんだ、2月の男子国別対抗戦・デ杯ワールドグループ1回戦以来。同じコートに並び立ち、何をつかんだのか。今後のプレーは要注目だ。

 続く世代も育つ。全米オープン・ジュニア男子ダブルスで、2006年全仏オープン・ジュニアの錦織以来となる、同種目の四大大会優勝を果たした18歳の中川直樹(福岡・柳川高)が来年1月、プロに転向する。こちらも13歳から、錦織が育った米アカデミーへ。得意のフォアで世界に挑む。

 この1年、歴史的快挙に沸いた地元ではテニス教室に通う子どもが増える現象もあった。松江市で、錦織が小学5年生のころから始まった、島根県テニス協会主催のジュニア強化練習会がある。今、指導者たちは「圭も通った道」と子どもたちの意欲をかき立てる。

 錦織の後にできた道が、あらためて照らされた1年だった。

2014年12月29日 無断転載禁止

  • 47クラブ