躍進 全米準優勝(3) 留学で世界を「日常」に

日本テニス協会常務理事 福井 烈氏
 小学6年生の圭を見た時から素質は飛び抜けていたが、米国にテニス留学するなど世界を「日常」として感じられる環境が、これまでの日本人選手との大きな違いだろう。

 圭の人柄や運もあるが、両親をはじめ、ジュニア時代に指導した柏井正樹氏、留学先でのコーチ陣、現在のダンテ・ボッティーニ、マイケル・チャン両コーチら周囲の支えが素晴らしかった。

 圭は13歳でテニス留学したが、両親は相当な覚悟で送り出したと思う。当然、圭自身も頑張った。これまでの積み重ねの全てが結実し、今回の全米オープン準優勝という「化学反応」につながったのだと思う。

 普段の圭は柔和で優しい好青年だが、試合になるとファイティングスピリットをむき出しにする。ショットのイメージも湧き出てくるのだろう。自分は圭を「ファンタジスタ(創造性に富み、予想外のプレーを見せる選手)」と呼んでいるが、不可能と思われる地点からも、ほれぼれとするような高い精度のショットを放つ。展開が全く読めないテニスが彼の魅力。見る人間に対し、驚きと興奮を与えてくれる。

 全米で準優勝したが、次こそ悲願の王者になってほしい。自分が28年間テレビ解説をしているウィンブルドン選手権で、もし世界一になってくれたら、きっと言葉にならないと思う。

 今回の準優勝はテニスという競技の枠を超え、スポーツに取り組む子どもたちに大きなインパクトを与えた。野球やサッカーと同様にメディアで大々的に紹介され、大会期間中は国民的行事となった。テニス熱が高まり「第2の圭」が出てくるのを願っている。

 島根も錦織を生んだ地として「テニスといえば島根」になるかもしれない。偉大な功績を残し、歴史を動かした圭に負けないように、われわれも基盤をつくり、国内でメジャースポーツにするのが責務だと感じている。


 ふくい・つよし 日本テニス協会常務理事。全日本選手権で3連覇し、1979年にプロ転向した。同大会では史上最多の7度優勝。男子国別対抗戦・デ杯に10年連続で出場した。引退後はデ杯や五輪の代表監督を務めた。北九州市出身。57歳。

2014年9月24日 無断転載禁止