錦織の戦い総括 クレーでも「革新」プレー

男子シングルス準々決勝でショットを放つ錦織圭=パリ(共同)
立ちはだかる壁 突き破る時期に

 【パリ=本紙特派員・藤井俊行】テニスの全仏オープン男子シングルスで四大大会初制覇を目指した錦織圭(日清食品)の進撃は準々決勝で止まった。全米の準優勝から四大大会の準々決勝進出は3大会連続。日本人初の「悲願」を前に、壁が立ちはだかる。


 第5シードの錦織は、準決勝まで「ビッグ4」と当たらない「恵まれたゾーン」に入った。大会前、地元紙は、第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)を抑え、優勝候補4番手に挙げた。

 初日の1回戦、2日後の2回戦ともストレート勝ち。3回戦は不戦勝。5セット戦で不安材料となるスタミナも心配ない。「万全」で2週目に突入した。

 4回戦もストレート勝ちで8強入り。会見で「いいテニスをすれば優勝までチャンスはある」と手応えがにじんだ。実際、クレーの舞台でもベースラインから踏み込み、速いテンポで打ち込む「革新」プレーを見せた。

 だが、日本男子82年ぶりの4強入りを懸け、強風で赤土が舞うセンターコートで行われた一戦は、一転、“追い風”がやんだ。

 準々決勝の相手、第4シードを破ってきた地元のジョーウィルフリード・ツォンガは過去4勝1敗で、くみしやすいはずが、強烈なショットとサーブに加え、錦織自身も「早く決めようと攻め急いだ」ことで序盤から劣勢に回った。

 第2セット途中、強風の影響による約40分間の中断が「見失っていた自分」を取り戻すきっかけとなり、フルセットに持ち込んだが、力尽きた。

 「押して駄目なら引いてみるべきだった」。法大スポーツ健康学部教授の神和住純氏(男子国別対抗戦デ杯元日本代表監督)は話した。スタン・バブリンカ(スイス)と打ち合い、敗れた全豪準々決勝と、同じ指摘を受けた。

 「クレーでいいテニスもできたし、それほど落胆してない」。試合後、こう語った。運を味方に、いいテニスをしても勝てなかった。壁を突き破るため、「革新」を一歩進める時が来ている。

2015年6月5日 無断転載禁止

  • 47クラブ