四大大会制覇へ 成長と課題(1) もっとフォアで圧力を

 パリのローランギャロスで行われたテニスの四大大会今季第2戦、全仏オープンに第5シードで臨み、自己最高の8強入りを果たした松江市出身の錦織圭(日清食品)。全米の準優勝、全豪のベスト8に続く、今大会の戦いは専門家の目にどう映ったのか。プレーから見えた成長、日本人初の四大大会制覇への課題を聞いた。


「体の強さ」身に付いた

テニス解説者 岩渕 聡氏
 期待度が高かった分、物足りなさを感じるかもしれないが、ベスト8はすごいことだ。それも、全米、全豪と、3大会連続。最大5セットを戦う四大大会で安定した結果を残すことができるのは「体の強さ」が身に付いたからだろう。

 今季のクレーシーズンは、得意のハードコートと同じように(ベースラインから)前に出てプレーするようになった。

 きっかけは昨年5月、ラファエル・ナダル(スペイン)と戦ったマドリード・オープンの決勝。けがのため、途中棄権したが、全仏9度の優勝を誇るナダルに対し、クレーでもハードと同じように攻め、押し込んだ。

 今季はこのスタイルを形にした。

 ただ、全仏の準々決勝は、錦織らしさがなかった。立ち上がりに(ジョーウィルフリード・)ツォンガ(フランス)の弱点のバックを突いたラリーが少なかったのは(あえて、相手が)自信を持つフォアで戦ってみようと思ったのかもしれない。

 これまでも(1試合のうち)1セットぐらいは「パニック」で落とすことがあった。いつもはすぐに戻せるが、相手も、トップ選手の1人。強風や体の硬さなど、いろいろなことが重なり、難しかった。

 (先に)2セット落としたのは致命的だったが、それでもフルセットに持ち込んだのは力のある証拠と言える。

 錦織の大きな武器となっているのがバックハンド。クロスやストレートに打ち分けることができ、(スライスなど)守りでもトップレベルにある。

 ただ、バックが良すぎるから(全仏では)回り込んでフォアで攻めてほしい場面でもバックで打っていた。

 バックよりもフォアの方が球威が出る。攻撃的に攻める(プレーを突き詰める)のであれば、もっとフォアを強調したプレーをするべきだ。

 球足がほかのコートより遅く、高く弾むクレーコートでは特にそうだが、「甘くなれば、フォアで打たれる」と、より強く、相手にプレッシャーをかける必要がある。

 細かいことかもしれないが、四大大会で世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)らトップ選手に勝つには、ちょっとずつ、そういう「何か」をしないといけない。


 いわぶち・さとし 神奈川県茅ケ崎市出身。柳川高(福岡)で3年時の1993年、高校総体で単複2冠。94年、卒業と同時にプロに転向し、2005年ジャパン・オープンでダブルス制覇。09年に引退し、現在はテレビ解説者。世界ランキング最高位はシングルス223位、ダブルス125位。39歳。

2015年6月11日 無断転載禁止

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