四大大会制覇へ 成長と課題(2) リターンからリズムを

日本テニス協会強化副部長 竹内 映二氏
「世界5位」の戦い修得

 苦手と言われていたクレーの全仏で、素晴らしい戦いぶりだった。大会を通じて持ち味の攻撃的なプレーが発揮できるようになってきた。(四大大会で今季)2大会連続ベスト8と、結果も残した。

 サーブで崩してから、得意のストローク戦を有利に進める場面が多く見られた。サーブの速度は大きく変わっていないが、コントロールが向上した。

 第1サーブの成功率は61%で、まずまず。確率が高いに越したことはないが、ただサーブを入れるだけなら相手のペースになってしまう。

 (錦織は)もともとエースを奪うようなサーブではない。ストローク戦をより有利に戦うために「崩すサーブ」で、重要なのは第1サーブの得点率だ。準々決勝で75%と数字を少し下げたが、「ビッグ4」と、大差はなかった。

 4回戦までの(不戦勝を除く)3試合は、ランキング下位の選手を相手に無理に攻めず、じっくりと様子を見ながら戦えた。(同じ第5シードで臨んだ)全豪オープンの時は「しっくりこない」と言っていたが、「世界5位」なりの戦い方も身に付けていた。

 だが、世界5位ともなると、研究される。(相手は)錦織主導のストローク戦になる前に、多少のリスクを負ってもサーブで厳しく、体の正面を狙ってくる。どの選手も、正面のボールでは鋭いリターンが難しい。

 このため、錦織もリターンが甘くなったり、単調になったりすることがあった。相手にリズムをつくらせない、サービスリターンからのストロークパターンも増やしていかないといけない。

 (相手に研究されても)乗り越えないと、さらなるレベルアップはできないし、四大大会優勝にも近づくことはできない。

 ハードコートに比べ、イレギュラーの可能性が高く、ミスのリスクがあり難しいクレーで、今大会は、積極的にライジングを打っていき、相手に考える時間を与えなかった。(全英の)芝はさらにイレギュラーが多く、跳ねない。

 それでも錦織はアジャスト(適応)できる器用さとテクニックを持っている。やってくれる。

 (聞き手は地域報道部・藤井俊行)


 たけうち・えいじ 京都市出身。1986、87年全日本選手権男子ダブルス優勝。世界ランキング最高位はダブルス120位。2005年から8年間、男子国別対抗戦デビスカップ(デ杯)監督を務めた。引退後の01年、竹内庭球研究所(兵庫県芦屋市)を設立し、選手育成、指導にも当たる。日本テニス協会強化副部長。56歳。

2015年6月12日 無断転載禁止