四大大会制覇へ 成長と課題(3) サーブの動き滑らかに

坂本 真一氏
経験積みショットに幅

 試合中、世界トップに定着している選手ならではのオーラが出ている。テニスの内容が良くないと出てこない。全仏は「ストローク戦になったら錦織の方が上だ」と思わせるプレーぶりだった。世界のテニス界を引っ張る一人となった。

 準々決勝も後半はさすがのプレーだったが、ファイナルセットの第4ゲームでブレークされたのは少し残念だった。40-15から、次の相手のサービスゲームをどうブレークするかを考え、集中が一瞬途切れたように思えた。

 だが、四大大会の準々決勝ともなれば、ランキングやシードは関係なく、今強い8人が出そろう。誰が勝ってもおかしくないレベルになる中のベスト8は素晴らしい。

 クレーの戦い方も良くなっているが、テニスの質そのものが向上している。ストローク戦の強さもちろんだが、それを支えるショットの多彩さ、相手の動きを読んだショットの選択が経験を積む中で確実に自分の力として蓄えられている。

 フォアも、バックも、彼は世界トップの力を持っている。課題があるとすれば、サーブだ。サーブのバリエーションや精度は向上し、ランキングをここまで上げた要因の一つでもある。

 ただ、ロジャー・フェデラー(スイス)のような、サーブ時の動きの滑らかさ、しなやかさが、まだない。

 感覚的な部分なので、説明するのが難しいが、どこかぎこちなく、大事なところでサーブミスが出そうな不安を感じる。わずかだが、四大大会で優勝するには、そのわずかな修正が必要だ。

 四大大会で8強入りしていないのは次の全英オープンだけとなった。ウィンブルドンの芝のコートは、球足も速くビッグサーバーが得意とする。サービスエースをどんどんと奪うタイプではないし、ボールの上がり際を打つ錦織にとっては、バウンドが変化することが多く少し苦手なコートになるだろう。

 それでも、ハードコートのように(ベースラインから)前へ出て積極的なテニスをしてこそ、結果はついてくる。

 (聞き手は地域報道部・藤井俊行)


 さかもと・しんいち 神奈川県横須賀市出身。日大を中退し、プロ転向さかもと・しんいち。全日本選手権で5度のダブルス優勝。世界ランキングの最高位はシングルス274位、ダブルス307位。現在は福岡県筑紫野市で中高生を中心にジュニア指導に当たる。テレビ解説者。61歳。

2015年6月13日 無断転載禁止