四大大会制覇へ 成長と課題(4) フリーライター紙上座談会

全仏8強の錦織圭(共同)=中央=と(右下から時計回りに)山口奈緒美、秋山英宏、武田薫の各氏
応援にも辛抱強さ必要 武田氏

「3打以内」改善の余地 秋山氏

バック磨いて世界一に 山口氏



 過去4回戦が最高だった全仏オープンでベスト8。クレーコートでも持ち味の攻撃テニスを見せる一方、「自分を見失っていた」と錦織圭が自ら振り返った準々決勝はフルセットの末に敗れた。現地で錦織を取材したフリーライターの評価は。日本人初の四大大会制覇に向けた課題は。山口奈緒美、秋山英宏、武田薫の3氏が語った。 


 -全仏ベスト8をどう評価するか。

 山口「昨年からのクレーでの戦いぶりで錦織は世界から高く評価されていた。日本人のひいき目ではなく優勝候補と言われている中で、少し物足りない」

 秋山「優勝を狙える位置だった。自信もあったはず。(準々決勝の)強風や、いつもと違うジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)の戦い方など不測の事態が起こっても、はね返さないといけなかった」


 -準々決勝は相手の弱点のバックを攻めなかった。

 山口「(相手が)自信を持つフォアで、勝負したくなっちゃったのかな。うまくいかなかったら、もっと早く作戦を変えれば良かったと思う」

 武田「勝ち負けだけを考えるなら、バックを攻めた方が良かったかもしれないが、大きな間違いではなかったのではないか。自分のフォアの位置づけ(使い方)もはっきりして、先を見据えれば、良かったかもしれない」


 -良くなっていると言われるサーブは。

 武田「錦織のテニスからしたら、エースを取る必要はない。ストローク戦で打ち勝てばいい。重要なのは第1サーブのポイント獲得率。大会通じて75%は悪い数字ではなく、むしろいい方だった」

 秋山「確かにサーブの精度やスピードは良くなっているが、準々決勝はサービスキープで手一杯になり、リターンまで集中が続かなかった。リズムよくサービスゲームをキープして、リターンでチャレンジする(のが理想)。特に感じたのが、フリーポイント(サーブから3打以内の得点)の少なさ。改善の余地がある」


 -次は全英オープン。四大大会初制覇に必要なのは。

 秋山「ノバク・ジョコビッチ(セルビア)やラファエル・ナダル(スペイン)ら『ビッグ4』は、試合中、集中が切れることがあっても、数ゲームで戻す。大事なところを押さえる、心の厳しさみたいなもの。それが、まだ足りない」

 山口「四大大会8勝のアンドレ・アガシ(アメリカ)は『世界一のものが一つあれば四大大会で優勝できる。二つあれば世界ランキング1位になれる』と言っていた。世界トップクラスと言われている錦織のバックハンドが、世界一になった時、優勝が見える」


 -昨年の全米準優勝から、期待は高まる一方だ。

 武田「すぐに結果を求めず、辛抱強く見守る、日本国内の理解も必要。四大大会優勝は簡単なことではない。ただ騒ぐのではなく、テニスを理解して応援することが(無形の)力になる」

     =おわり=



≪山口奈緒美氏≫

 やまぐち・なおみ 出版社を1997年に退社しフリーに。99年から四大大会取材。雑誌、インターネットサイトなどに執筆多数。45歳。


≪秋山 英宏氏≫

 あきやま・ひでひろ 1987年からテニスの四大大会をはじめ、国内外の主要トーナメントを取材。日本テニス協会広報委員会副委員長。54歳。


≪武田 薫氏≫

 たけだ・かおる 1985年に新聞社を退社してフリーに。同年から全仏オープンを取材。テニスのほか、マラソンの取材、執筆も。64歳。

2015年6月15日 無断転載禁止

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