アキのKEIルポ 言い訳しない美徳

 「ケイのケガの状態はどうなの?」。錦織圭が初戦を僅差で突破した後、ドイツ人記者に尋ねられた。本当のところは、よく分からない…そう答えると、その記者氏は次のような話をしてくれた。

 前哨戦のゲーリー・ウェバー・オープンの準決勝を、ふくらはぎの負傷で棄権した後のこと。「会見でケイは『ウィンブルドンに出られるか、今は分からない』と言った後に『でも大したことはない』と言っていたから、どっちだろうと思ったの」

 なるほど、錦織らしいなと思う。思わずこぼした弱気な言葉と、そんな自分を打ち消す発言。葛藤を隠せぬ素直さは、彼の美徳だ。

 けがが気になるのはファンの心理だが、錦織はそれについて語るのも、言い訳にするのも良しとしない。それはトッププレーヤーの自覚でもある。

 ウィンブルドン初戦後の会見でもこんな一幕があった。「試合中、ケガの影響を感じる動きはあったか?」。そう問われると、苦笑いを浮かべつつ即答する。「たぶんあっても、言わないと思います」

 だったら我々も、そこを焦点にすべきではないだろう。初戦はフルセットの接戦だった。2回戦も、また厳しい戦いが待っている。それが、全てなのだから。

  ◇ ◇ ◇

 プロツアーで錦織圭を追うフリーライター内田暁(あかつき)さん(40)が全仏に続き、ウィンブルドンの戦いを現地報告する。

2015年7月1日 無断転載禁止

  • 47クラブ