レッツ連歌(下房桃菴)・7月9日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 やり直したいやり直せない

舅から松の剪定まかされて   (松江)森  笑子

あのときはアランドロンに見えたのよ
            (熊本・天草)龍石美和子

五百円賽銭箱に吸い込まれ   (出雲)原  陽子

痩せた背にしなびて残る紅牡丹 (出雲)行長 好友

何日もあったはずでしょ夏休み (出雲)野村たまえ

おもてなし間に合うかしらスタジアム
               (松江)高木 酔子

買ったころ激ヤセ今は激太り  (江津)岡本美津子

くちゃくちゃになってしまった湿布薬
               (浜田)松井 鏡子

九十の母と始めた口喧嘩    (益田)岡崎 晴世

分解後再組立てができません  (大田)有田 孝政

うっかりとメール開いて感染し (松江)佐々木滋子

あのときにパスワードさえかけとけば
               (松江)山崎まるむ

お隣の庭へ枝伸び実る枇杷   (雲南)錦織 博子

通勤の電車で気づく裏返し   (益田)吉川 洋子

来世こそ賢い女に生まれたい  (益田)竹内 良子

吊り橋のド真ん中まで来て立ち往生
               (松江)河本 幹子

退職後あっという間の十五年  (松江)花井 寛子

弟のほうが上手なプラモデル  (松江)相見 哲雄

十八のスカート今も捨てられず (浜田)滝本 洋子

エンドウを去年と同じ場所に植え(松江)岩田 正之

人生がもし砂時計だったなら  (松江)加茂 京子

友禅をリフォームするとハサミ入れ
               (飯南)塩田美代子

晋ちゃんも戦争ごっこ好きなんだ(松江)中西 隆三

離婚した妻に当たった三億円  (江津)花田 美昭

運命を決めたハンコは五百円  (浜田)宇津崎育枝

砂糖塩入れまちがえたパンケーキ(出雲)原  幸子

人類を産んだ地球の大誤算   (雲南)横山 一稔

美人にはなれたがみんな同じ顔 (松江)原  野苺

山田くん座布団ぜんぶ持ってって(出雲)矢田カズエ

送金の桁まちがえてボタン押し (出雲)放ヒサユキ

見えてきた三途の川の渡し舟
             (出雲)はなやのおきな

いつまでも仲人口のせいにして (益田)石田 三章

締切りが過ぎて浮かんだ名付句 (益田)石川アキオ

サヨナラと霧の車窓に書いた夜 (松江)余村  正


           ◇

 「母の名は親父の腕にしなびてゐ」という古川柳があります。この句、以前にもご紹介したことがありますが、今回は、あえて解説はいたしません。どういう意味か、自分で気づくと嬉しいものです。

 で、好友さんの句、もとは「縮んで残る」とあったのですが、この川柳を思い出して、「しなびて」と直させていただきました。牡丹の花ですから、その意味でもおもしろいかと思います。

 彫り物もそうですが、今回の前句からは、一生を左右する重大な岐路、なんてことが連想されがちです。が、一方で、ただ貼り薬がくちゃくちゃになったとか、服を裏返しに着たとか、せいぜいが吊り橋で立ち往生するぐらいの、そういう、いわば、どうでもいいような、日常的な話題も、この際、おもしろいですね。

 逆に、とてつもなくスケールの大きな作品もありました。一稔さんの「地球の大誤算」―。大気汚染や温暖化といった環境破壊。絶えることのない戦争やテロ。地球はほんとうに後悔しているのかもしれません。映画「猿の惑星」の、あのショッキングなラストシーンを思い出しました。

           ◇

 次は、

  考えておくが通じぬ電話口

 この前句に、七七の句を付けてください。

2015年7月9日 無断転載禁止

こども新聞