紙上講演 慶応大教授 樋口 美雄氏

慶応大教授 樋口美雄氏
人口減少下における地方元気戦略

 女性が住みやすい地域づくり


 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が20、21の両日、浜田市と益田市であり、内閣官房「まち・ひと・しごと創生会議」の委員を務める慶応大商学部教授の樋口美雄氏(62)が「人口減少下における地方元気戦略」と題して講演した。少子化対策が喫緊の課題と強調し、女性が住みやすい地域づくりが大切と説いた。要旨は次の通り。

 日本創成会議が、2010~40年の間に20~30代の女性が半分以下に減る自治体を「消滅可能性都市」と定義したのは、出産年代の女性が減少すれば、出生率が上がっても生まれてくる子どもの実数は減り、出生数から死亡数を引いた人口の自然減につながるからだ。自然減に歯止めをかける少子化対策が、人口対策では重要になる。

 その対策も全国一律ではなく、各自治体が考えなくてはいけない。出生率の低下には、待機児童の問題や不安定な雇用、男性の育児参加の希薄さなどさまざまな要因が挙げられ、どの政策から手をつけるかは違ってくる。

 女性の移住は、女性にとって住みやすく、魅力的な地域かどうかが左右する。地方で男女共同参画を進めることが課題で、市町村単位でワークライフバランス推進協議会を設立することを提案した。地元企業や自治体、住民代表が参加して、働き方の見直しや女性の活躍を促進する必要がある。

 地方への移住には雇用の確保や創出が欠かせないが、低い給料、不安定な雇用では人は動かない。年収約300万円、夫婦で約500万円を稼げるかどうかが分岐点となる。

 高齢人口が既に減少している地方もあるが、東京圏では10~40年に50%も増える。都市部に先行して高齢化が進んだ地方を支えてきた医療や介護の雇用を維持する観点からも、東京圏の高齢者の地方移住を選択肢の一つとして提言した。

2015年8月22日 無断転載禁止