きらめく星たち 星の動き

夏の夜明け前に東の空に見えるオリオン座(円内)=8月15日、大田市三瓶町池田で撮影(さつえい)
サソリを恐(おそ)れるオリオン

 狩人(かりうど)のオリオンは、たいへん力のある巨人(きょじん)でした。自分でも一番強いと思っていたのでしょう。あるとき、「俺(おれ)は最も優(すぐ)れた狩人だ。よし、明日からは、世界中の動物という動物を全部捕(つか)まえてやるぞ」と、言ってしまったんです。

 それを聞いて怒(おこ)ったのが大地の女神(めがみ)でした。「世の中はいろいろな生き物がいて成り立っているのに、すべて捕まえようなんて、そんな考えは許(ゆる)せない」と言って、ある虫を使って、オリオンを懲(こ)らしめることにしました。

 その虫とは、しっぽに毒を持つサソリ。傲慢(ごうまん)なことを言ったオリオンは、たった1匹のサソリに刺(さ)されて、あっけなく死んでしまいました。その後、星座(せいざ)になったオリオンですが、今でもオリオン座はサソリを恐(おそ)れ、さそり座が西に沈(しず)んだ後に東の空に昇(のぼ)り、さそり座が東から出てくると逃(に)げるように西に沈んでいくということです。

 これは、オリオン座とさそり座にまつわる昔話ですが、これら二つの星座が一晩(ひとばん)のうちに入れ替(か)わることを表しています。実際(じっさい)、今ごろでしたら、さそり座は夜中になる前に沈み、夜中を過(す)ぎてからオリオン座が昇ってきます。

 さそり座は夏の星座、オリオン座は冬の星座といわれますが、季節の星座というのは、その季節の夜の初めに見られる星座というだけの意味で、夏でもオリオン座は見られるのです。

 そのようなことが起こるのは、星が常(つね)にゆっくり動いているからです。夜空をぱっと見ただけでは、星の動きを感じないかもしれませんが、一つの星の位置を覚えておいて、1時間後にもう一度その星を見ると、かなり動いていることに気付くでしょう。ここに載せた写真で、星が線となって写っているのも星が動いているからで、たった10分間の星の動きです。

 最後に本当のことをいうと、星が動いて見えるのは、地球が回転しているからですよ。

 (島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))

2015年8月26日 無断転載禁止

こども新聞