紙上講演 読売テレビチーフプロデューサー 結城 豊弘氏

読売テレビチーフプロデューサー 結城 豊弘氏
政治番組の制作秘話

 多様な意見が議論活発化

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が10、11の両日、松江、米子両市内であり、読売テレビ(大阪市)のチーフプロデューサーの結城豊弘氏(53)=境港市出身=が「政治番組の制作秘話」と題して講演した。テレビは、国民の政治に対する関心を高められる可能性を持つとし、議論の活発化につながる番組作りの舞台裏の一端を紹介した。要旨は次の通り。

 先日放送した番組で、安倍晋三首相を招き、審議中の安全保障関連法案に関する野党や国民の疑問などをぶつけた。説明不足との指摘や、法制化によって「国民が戦争に行くことは本当にないのか」といった質問のほか、「首相が吐血した」などと体調問題を取り上げた週刊誌に対する認識など、30項目を4時間かけて準備した。

 安保法案が参院で採決間近という時期だからこそ、首相や自民党が何を考えているのかを番組で取り上げる必要があった。首相に項目を見せたところ、「非常に聞きにくい質問を、全て用意されましたね」と返され、とてもうれしかった。

 この番組には、毎回抗議が来る。主義や主張が異なる視聴者がいるためで、当たり前のことと受け止めている。

 多様な意見をぶつけ合った末、多数決で決めるのが民主主義だ。学生運動が盛んだったころは、国民は本当に議論し、真剣に国の将来を考えていた。

 しかし、最近は議論することが少なくなっている。

 例えば、新たに運用が始まるマイナンバー制度は、導入時に反対運動が起きた住民基本台帳ネットワークシステムに比べ、複雑にもかかわらず、問題点がほとんど議論されていない。

 こうした中、多様な意見を取り上げるテレビがあることで、議論が生まれ、深まると信じている。面白い番組を見極め、議論に生かしてほしい。

2015年9月14日 無断転載禁止