レッツ連歌(下房桃菴)・10月8日付

(挿絵・FUMI)
 一時はどうなることかと思った

初恋の君と出くわすハネムーン (松江)原  野苺

孫去ってようやくワシの夏休み (浜田)勇 之 祐

まん中を通ってきたと一休さん (益田)石田 三章

五つ子が成人式に勢揃い    (浜田)勝田  艶

アメリカで約束をしてきた手前 (松江)安東 和実

子を持ってはじめて分かる親の愛(江津)岡本美津子

一株のゴーヤに生った実が五十 (松江)花井 寛子

さっきまでここにたしかにエイリアン
               (浜田)三隅  彰

口髭の今は立派な教育者    (松江)中村 清子

フィーバーが続いて玉がこぼれ出し
               (松江)佐々木博章

アマテラス天の岩戸に引きこもり(出雲)原  陽子

バアちゃんが変な電話にひっかかり
              (津和野)岡田 忠良

ヒーローが死なないことは分かってる
               (出雲)吾郷 寿海

白うさぎ蒲の穂綿にくるまって (雲南)板垣スエ子

大臣と総理答弁くい違い    (江津)花田 美昭

船長が一番先に逃げ出して (出雲)はなやのおきな

Qちゃんがペラペラペラとしゃべりだし
               (松江)高木 酔子

自民党総裁選も無事終わり   (江津)井原 芳政

パトカーに呼び止められた交差点(松江)岩田 正之

パトカーの先導で行く試験場  (益田)石川アキオ

ヤマかけた問題ばかり並んでて (松江)山崎まるむ

ショッカーに変身ベルト奪われて(益田)黒田ひかり

名付句次から次へ湧いて出て  (益田)吉川 洋子

欠航がとりもつ縁で結ばれて  (雲南)渡部 静子

おどかしてみればまったく知らぬ人
               (出雲)黒田千華子

祈祷札ついに見つけた松江城  (松江)三島 啓克

親友の遠■(人ベンに品の口がそれぞれムその下に珍のツクリ)(えんさん)だとは気がつかず
               (出雲)行長 好友

掌(たなごころ)合わす斐伊川放水路
               (出雲)山崎 令子


           ◇

 多くの国民の不安をよそに、安保関連法案が強行可決されました。そのことの可否はともかく、これが戦後日本の一大転機となることは、まず間違いないでしょう。幸か不幸か、くしくもその時に生きあわせたレッツ子の、思いを込めた三句―。いずれも後世への貴重な証言となることでしょう。

 今回の前句からは、ふつうマイナーな状況が連想されますが、その逆の場合もあるようで。ゴーヤがいっぱい実をつけたり、パチンコでフィーバーが続いたり。試験のヤマが当たったり、名句が次々浮かんだり。なにが悲しいのかと思いますが…。でも、気持ちは分からないでもありません。私も、釣りに行って、釣れすぎて困った経験が、二、三度はあります。困るなら止めればいいのですが、それがなかなかむずかしい。

 ヒーローが死なないことは、もちろん分かっております。変身ベルトを奪われても、なんの心配もいりません。…でも、そう思って見るドラマって、さぞつまらないことでしょう。

 ただの「まったく知らぬ人」であればヨシとしましょう、千華子さん。怖いお兄さんだったりしたら、バツが悪いじゃ納まりません。

 好友さんの句は、中島敦の名作「山月記」から。…それ以上は申しませんので、まだのかたは、この機会にご一読ください。

           ◇

 ふと、

  こんなこと前にもあったような気が

することってありますよね。そういうのを「デジャビュ(既視感)」というそうです。で次回は、この前句に、なるべく不思議な七七を、いっぱい付けてみてください。

2015年10月8日 無断転載禁止

こども新聞