レッツ連歌(下房桃菴)・10月22日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
◎シャチホコが金でないとはアテハズレ

どこ吹く風のイズモナンキン  (松江)金津  功


◎シロクマの人気に負けたチンパンジー

手当たり次第物を投げつけ   (浜田)松井 鏡子


◎ありすぎてどれがどれだか分からない

大フロアーの家電コーナー   (出雲)放ヒサユキ

バイキングよりお茶漬けがいい (浜田)勝田  艶

芋掘る前に蔓を切らなきゃ   (松江)水野貴美子

食前食後食間の指示      (雲南)佐藤 風子

微妙に違うタッパーの蓋    (邑南)清水 律子

星になったというおじいちゃん
             (出雲)はなやのおきな


◎もういいかそろそろ国へ帰ろうか

納豆恋しくなった老公     (松江)土江 フミ


◎貝殻を拾い集めたネックレス

孫に持たせる自由研究     (江津)江藤  清

施設に持ってゆく誕生日    (松江)相見 哲雄

道の駅には大勢の客      (雲南)板垣スエ子

リタイアしたら波照間に住む  (松江)岩田 正之

今日のディナーはマンモスの肉 (松江)田中 堂太


◎張り替えはプロに頼めと言っただろ

お金があればそういたします  (出雲)矢田カズエ

トラのつもりがシマウマとなり (江津)岡本美津子


◎猫にしか見えないよねと陰で言い

炬燵にもぐる寒がりのポチ   (出雲)原  陽子


◎コツコツと完成させた露天風呂

このごろ猿とお話ができ    (出雲)黒田千華子

クマの気配に胸を押さえる   (益田)石田 三章

いつの間にやらビルに囲まれ  (松江)半田 有行


◎押入れのブリキのサルにつく高値

あわてて桐の箱を注文     (益田)石川アキオ


◎練習を馬がないので牛でする

田舎芝居の夕陽のガンマン   (江津)花田 美昭


◎どこでどう踏みはずしたか分からない

最後の柿は木に残すもの    (出雲)飯塚猫の子


           ◇

 「タッパーの蓋(ふた)」、ほんとイライラしますよね。A4とかB5とか決まっていればよいのですが…。

 堂太さんの句は、なぜ「マンモス」の肉かと思ったら、ギャートルズの世界だったのですね。それなら「貝殻」のネックレスも納得できます。

 美津子さんの句―。張子(はりこ)の張り替えなんて、ふつうしないと思いますが、このバカバカしさにまずは脱帽! その上、トラとシマウマとは、縞(しま)の色が違うでしょう。このウカツさに2度目の脱帽! それでもシマウマに見えたとしたら、もともとよほど首の長いトラだったのでしょうか。この不細工なトラに3度目の脱帽!

 「ブリキのサル」に「桐(きり)の箱」? この趣味の悪さで、アキオさんの句も、みごと入選いたしました。

 惜しくも入選を逃した句に、次のような作品がありました。

   コツコツと完成させた露天風呂

  スーパームーン独り占めする

  月の雫が湯の花に落ち

  どちらも、とてもきれいな句なのですが、残念なことに、前句「コツコツと…」のもう一つ前の前句が、

  ひとり夜通し見る天の川

でした。この「天の川」と、「スーパームーン」あるいは「月の雫」とが近すぎるのです。

 前句の前句を「打越(うちこし)」といいますが、打越の句に戻るような付けかたそのものをも「打越」といって、この世界ではよくないこととされております。第4木曜日には、このようなことにもお気をつけください。

           ◇

 それでは、今日の入選句を前句に、打越にならないような五七五をお願いいたします。

2015年10月22日 無断転載禁止

こども新聞