レッツ連歌スペシャル(要木 木純)・10月29付

(挿絵・FUMI)
大病のあとも懲りない不養生

 今回の前句です。私事ですが、この春、胆嚢(たんのう)炎で胆嚢全摘手術をしました。術後の経過もよく、運動や減量で体質改善を目指しています。しかし、半年もたつと、もとどおりの不摂生な日々にかえってしまうこともままあり、自分の弱さを痛感しております。なぜそうなるのか、分析し、反省し、自ら励ます必要がありますが、それは他のジャンルの文芸に任せて、連歌では、どうしても、不養生をやめられない、人間のとほほと言いたくなるような、おかしさに焦点を当てます。その辺、皆さんよくお分かりのようですね。 


 体に悪いと分かっていても、酒やタバコはやめられない。理由をこしらえては、つい手を出してしまう。

生前葬儀の香典で飲む     (松江)原  野苺

かたきの酒に毎夜会うべし   (松江)森  笑子

国家のためにタバコ吸います  (出雲)原  陽子

百薬あって一害もなし     (出雲)吾郷 寿海

てぐすねひいて待ってる悪友  (飯南)塩田美代子

忘れられない人肌の燗     (雲南)小林多美子

快気祝いに届く酒樽   (出雲)はやなやのおきな

 快気祝いに酒を送ってはいけません。


遅かれ早かれ人間は死ぬ    (松江)安東 和実

食うだけ食って死ぬときは死ぬ (松江)佐々木滋子

 開き直っていますね。


白い天使に会いに行きたい(兵庫・明石)折田 小枝

看護婦さんに又会いたくて   (雲南)佐藤 風子

古希を過ぎても愛だ恋だと   (浜田)勇 之 祐

 馬鹿(ばか)だねえ、男は。浮気心は、死ぬまで捨てられない。奥さんにばれないように。

 男女平等になりつつあるのですから、女だって、男同様に馬鹿をする権利はありますが、どうも連歌や川柳の世界では、馬鹿をするのは、やっぱり男じゃないと、ぴったりしないですね。この辺、ちょっと古い感性かもしれません。でも、今後も、多くの男は馬鹿をし続け、多くの女はやさしく(冷たく?)それを見守り続けるような気もするのですが、どうでしょう。

理屈と膏薬どこへでも付く   (美郷)芦矢 敦子

人生いろいろ男もいろいろ   (松江)花井 寛子

馬鹿は死ななきゃ治らないもの (江津)星野 礼佑

 余りに、反省もせず、馬鹿をし続けると、愛想を尽かされ、次の句のように、見捨てられてしまいますぞ。

ぽっくりいってくれりゃいいけど(益田)石田 三章

お百度踏むのアホらしくなり  (雲南)錦織 博子

妻のため息何遍も聞く     (川本)高砂瀬喜美


 訳の分からない、言い訳の付句も面白いですね。

どうせ天国満員だから     (松江)福間 左余

生命保険のもとをとらねば   (松江)山崎まるむ

 その理屈はおかしい。


落葉を見てはそっと涙し    (益田)石川アキオ

心配そうにのぞく野良猫    (江津)花田 美昭

 せっかく命が助かったのに、またぞろ体を悪くするようなことばかりしてしまう、人間の、愚かさ、哀れさに、落葉や猫を配しています。論理の筋道はよく分からないですが、なかなか趣のある付け方だと思います。


 その他、私が気に入った句。同工多数ありますが、口調のよいものを選びました。

これぐらいなら食べてもいいよね(大田)大谷  勇

白寿の母に恐いものなし    (出雲)粟田  枝

一尺四方の土地に引っ越す   (浜田)三隅  彰

医者も紺屋も似たようなもの  (益田)吉川 洋子

ついでに親も引き合いにされ (津和野)岡田 忠良

生前葬も派手にすませて    (松江)加茂 京子

患者になった医者に説教    (浜田)勝田  艶

お金を持ってあの世にゃ行けない(出雲)黒田千華子


2015年10月29日 無断転載禁止

こども新聞