女子ログ お気に入りの場所

 今秋は、私の「松江のお薦め」を知人に案内する機会がたびたびあった。松江の秋といえば、鼕(どう)行列、松江水燈路、松江城大茶会など、イベントや風物詩が満載。週末は体が一つでは足りない。

 10月になると、夜、街に「ドーン、ドーン」と低い音が響く。子どもからお年寄りまでが鼕を据えた山車屋台の元に集い、練習している。水燈路では、無数の行灯(あんどん)が夜の松江城と周辺を幻想的に照らす。宍道湖に映る夕日は、今が最も美しい時期だと思う。松江のことを人に話すほど、松江で生まれ育った自分の、この街への愛着が増すのを感じる。

 特に好きなのは、幼いころからの遊び場だった宍道湖と松江城だ。以前、松江城山公園内にある県指定有形文化財「興雲閣」に展示してあった昭和初期のものと思(おぼ)しき電話帳に、わが家の電話番号を発見した。曽祖父が商売をしていたからだろうか。以来、この建物にも妙な親しみを覚えている。

 先月には保存修理工事が終わり、建物内に新たなお気に入りの場所が誕生した。1階にできた「亀田山喫茶室」。バターの香り高い手作りケーキ、こだわりのコーヒー、ナポリタンもクセになるおいしさ。ノスタルジックでシンプルな内装が落ち着く。まちづくりに思いをはせながら2階のテラスから秋の静かな街並みを眺めるのも好きだ。

   (松江市・わっか)

2015年11月5日 無断転載禁止