仕事みてある記 ろくろと向き合い木目の美しさ追求

「木目の美しさを引き出したい」と、ろくろに向かう濱田幸介さん=松江市東出雲町上意東の工房
 木工作家

   濱田 幸介(はまだ こうすけ)さん (松江市東出雲町)



 「木と向き合い、いろいろな木目(もくめ)と出合えるのが面白(おもしろ)い」。松江(まつえ)市東出雲(ひがしいずも)町上意東(かみいとう)、木工作家濱田幸介(はまだこうすけ)さん(30)は日本伝統(でんとう)工芸展(てん)の木竹工部門で、ケヤキの木目の美しさを際立(きわだ)たせた作品で8年連続入選。日本工芸会正会員でもあり「ケヤキの良さや私の個性(こせい)が出る作品を追求(ついきゅう)していきたい」と、情熱(じょうねつ)を燃(も)やしています。


 直径(ちょっけい)13センチ、厚(あつ)さ4・5センチ。裁断(さいだん)した木材を取り付けた木工用ろくろが高速回転しています。「かんな」と呼(よ)ぶ刃(は)を当て、木くずを飛ばしながら削(けず)っていきます。少し削っては別の刃に替(か)えて徐々(じょじょ)に形を整えていきます。ケヤキ造(づく)りの一輪挿(ざ)し。サンドペーパーで表面を磨(みが)き、漆(うるし)を塗(ぬ)ってはふき取り乾燥(かんそう)させる作業を繰(く)り返(かえ)す「拭(ふ)き漆」の技法(ぎほう)で仕上げると、木目が鮮(あざ)やかに浮(う)かび上がっていきます。

   ※      ※   

 子どものころ、祖父(そふ)が精米(せいまい)の動力になる水車を造(つく)るのをよく見ていたのが、木とふれ合うきっかけでした。中学生になると、趣味(しゅみ)の釣(つ)りに使う浮(う)きやルアーを手作りしていました。自宅(じたく)近くの木工体験施設(しせつ)にろくろが導入(どうにゅう)され、使ってみると「浮きや茶たくなど、いろいろ作れるんだ」と楽しくなりました。

 高校卒業後、石川県にある技術研修(ぎじゅつけんしゅう)所に入校、ろくろや木工を4年間学びました。作家の先生の元でも修業(しゅぎょう)を積み、2009年に帰郷(ききょう)、工房(こうぼう)を開きました。

 日本伝統工芸展は22歳(さい)の時、初挑戦(ちょうせん)で初入選してからの連続入選。「一生で1回入選すればいいな、と思っていたのでビックリです」。今年の作品「欅造拭漆盛器(けやきづくりふきうるしもりき)」は木地(きじ)に刷(す)り込(こ)んだ漆で、透(す)けた木目が引き立ち、つやが美しい器(うつわ)です。2日に開幕(かいまく)する日本伝統工芸展松江会場に展示(てんじ)されます。

 「材料の木目を見ながら形を決め、削っている間も木目に合わせて修正し、木目が一番きれいに出るように心がけています」。「用途(ようと)は主に、生け作りや塩焼きなど魚料理を盛(も)りつけたい、とイメージを膨(ふく)らませます。今年はちらし寿司(ずし)をのせたいな、と想定しながら作りました」

 ケヤキやトチ、桜(さくら)などを素材にしたお盆(ぼん)や椀(わん)、茶たく―と普段(ふだん)使う製品(せいひん)も手がけ、松江市内の百貨店や物産館、県外での個展などで販売(はんばい)しています。「親しみを持ち使ってみたくなる製品を作り、漆の良さもアピールしていきたい」と、今日もろくろと向き合っています。

2015年12月2日 無断転載禁止

こども新聞