論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(5)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))は言われた。過去(かこ)の出来事や先人(せんじん)の話を謙虚(けんきょ)な心で学び、そこから新しい価値(かち)を発見する。そうあってこそ人の前に立つ資格(しかく)を得るのだよ。


先人(せんじん)の教訓(きょうくん)をもとに考え深めて

 「温故知新(おんこちしん)」という四文字熟語(じゅくご)で大変有名な章句(しょうく)です。


 ◆先人の話から◆

 伝記(でんき)を読むと、おもしろくてとてもためになりますね。昔の人がどのような苦労を積み重ねてきたか。その間に何を思い、何をしたか。物語として書かれているので分かりやすく、しかも感動するでしょう。

 「偉人(いじん)と呼(よ)ばれる人にはそれだけの努力と苦労があるのだなぁ」

 「今の自分に足りないことがあるのが分かった」

 「自分もこの人のように生きたい」

 というように、先人の行動や考えの中から、真実を読み取るのです。


 ◆過去の出来事から◆

 孔子は、古代(こだい)中国の周王朝(しゅうおうちょう)という国で礼節(れいせつ)と道徳(どうとく)を大事(だいじ)にした周公旦(しゅうこうだん)という人を大変尊敬(そんけい)していました。そして、実際(じっさい)に孔子が理想とする政治が行われていたといわれます。しかし、その周王朝も、やがて滅(ほろ)びます。そして、世の中は戦乱(せんらん)に明け暮(く)れる時代へと移っていくのです。こうした歴史の事実を踏(ふ)まえた上で、孔子は自分の実践(じっせん)を通して、理想とする政治や人のあり方を知るのです。


 ◆人の前に立つ◆

 人は誰(だれ)でも、長い人生の中で、必ずリーダー的な立場に立つことがあります。

 その際(さい)、目新しいことには、人の心や興味(きょうみ)を引きつけるものがあります。しかし、それが単なるその場の思いつきであったなら、あまり意味はありません。

 今までの実践や過去の真実に裏打(うらう)ちされたものでなかったら、いずれ忘(わす)れられてしまいます。

 先人の知恵(ちえ)や教訓(きょうくん)をもとに、さらに自分の考えを深めていくことこそ、人の前に立つリーダーの資格として大事です。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年1月7日 無断転載禁止

こども新聞