論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(8)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))は言われた。聞こえ心地(ここち)の良いことを言って誘(さそ)ったり、うわべだけの笑顔(えがお)で愛想(あいそう)よくする者に、やさしさや思いやりの心は少ないものだよ。


相手を思いやる真心が大切なんだ

 「巧言令色」という句(く)は良い意味では使いません。しかし、小さな子どもでも、強く心に残る句のようです。人間の生々(なまなま)しい一面を厳(きび)しくついたものでしょうか。


 ◆孔子が生きた時代◆

 戦争や裏切(うらぎ)りなど、だましたりだまされたりの乱(みだ)れた世の中では、欲(よく)に走った人の「巧言令色」ぶりが目立っていました。そんな中で、孔子は口先だけの人間より、信頼(しんらい)できる人間を育てたいと強く願いました。


 ◆現代では◆

 「巧言令色」は「礼儀(れいぎ)正しい態度(たいど)」とよく似(に)ていて、違(ちが)いが分かりにくいことがあります。しかし、よく観察してみると、何となく違う雰囲気(ふんいき)に気付きます。そこには、心が相手のためにあるのではなく、自分のためにある。だから、「うそ」を感じるのです。

 ただし、相手によく思われたいと思う行動でも、人を無視(むし)するよりは、少し「仁」があります。だから、「鮮(すく)なし仁」であり、まったく仁がないといっていないのが微妙(びみょう)なところです。

 それではお店のおじさん、おばさんは、お客に商品を買ってもらうために「巧言令色」なのか? という疑問(ぎもん)が湧(わ)きそうです。悪い品物を良い品物とうそをついて、うまく売りつけようとするのであれば、その言葉と笑顔(えがお)は巧言令色でしょう。

 しかし、本当に良い品物を、お客の立場に立って勧(すす)めるのであればどうでしょう。ここのところが、巧言令色とよく誤解(ごかい)されやすいところです。

 孔子は一方で、「意志が強く、飾(かざ)り気が無くて口数が少ないのは、道徳(どうとく)の理想とする仁に近い」ということで、「剛毅木訥(ごうきぼくとつ)、仁に近し」と言っています。

 だいじなことは、言葉や態度の中に相手を思いやる真心「仁」が感じられるということですね。自分の言葉や態度を振(ふ)り返(かえ)ってみるとどうかな?

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年2月18日 無断転載禁止

こども新聞