論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(9)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))は言われた。その人に徳があれば、まわりの人がほっておかない。必ず、その人物の行動や言葉に共感(きょうかん)する仲間が次々と現(あらわ)れるものだよ。


真心あれば共感(きょうかん)する人が必ずいるよ

 この章句(しょうく)は心が折(お)れそうな時に、勇気と安心を与(あた)えてくれます。だから、人気がある章句の一つです。


 ◆「徳」◆

 「人間にはこれをなくしたら人間ではなくなる」というものがあるはずです。ちょうど、木に例えるなら、幹(みき)・枝(えだ)・葉のように目に見える部分と、見えないけれど、それらを地中(ちちゅう)で支(ささ)えている根の部分があります。根が枯(か)れたり腐(くさ)ったりしたら、木はどうなりますか?

 人間にも、見えないところで支えている根に当たる部分があるはずです。それが「徳」です。

 学校では道徳の時間がありますね。算数や国語などはテストをして点数がでますが、道徳は点数にできません。しかし、道徳心はあらゆる教科の根に当たる部分です。これがなかったら社会で信用される人として生きていくことはできません。


 ◆孤ならず◆

 「孤(こ)」という漢字は「ひとりぼっち」という意味です。ですから、ここでは「ひとりぼっちにならない」ということです。誰(だれ)からも声をかけられない恐怖(きょうふ)は耐(た)えられない苦痛(くつう)でしょう。だから、「孤」になることをとても心配します。

 しかし、孔子は「孤立を恐(おそ)れることはない」と言っています。「あなたのまわりには、分かってくれる人が必ずいる」と言っています。これが、「必ず鄰有り」ということです。さらに言うなら、分かってくれる人は今、黙(だま)って見守っているのです。

 孔子という人はいつでも、誰に対しても、正義を貫(つらぬ)き、孤立を恐れることはありませんでした。また、自分に厳(きび)しい人であり、人に真心を尽(つ)くすことを大事にしました。そのために、たくさんの信頼(しんらい)できる弟子たちに恵(めぐ)まれました。

 時々、人を信じられなくなるときがあるかもしれません。そんな時こそ、この章句を思い出すといいですね。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年3月4日 無断転載禁止

こども新聞