論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(20)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。「自分中心の利益本位(りえきほんい)で行動すると、後で人から怨(うら)まれることが多いものだよ」


損得(そんとく)より思いやりの精神を大事に

 「損(そん)か得(とく)か」という考え方に立つか、「善(ぜん)か悪(あく)か」という考え方に立つかによって、人の行動は違(ちが)ってきます。しかし、実際(じっさい)にはその両方が混(ま)じり合っているかもしれません。


 ◆利に放(よ)る◆

 「しまった、だまされた」

 日常(にちじょう)の場面でよく聞く言葉です。よく考えてみると、損をする人がいれば、一方で得をする人がいるはずです。たとえば、オレオレ詐欺(さぎ)などその典型(てんけい)でしょう。

 「自分さえよければ」

 「今さえよければ」

 「後はどうでもいい」

 こんな考え方は大昔(おおむかし)からあったのですね。特に孔子が生きた時代(春秋戦国(しゅんじゅうせんごく)時代)はひどかったのでしょう。そんな時代に孔子は「仁(じん)」(思いやりの精神)こそ、あらゆる行動の基本にしなければならないと考えたのです。しかし、なかなか受け入れてもらえませんでした。だから、裏切(うらぎ)りや奪(うば)い合いや争いが絶(た)えなかったのでしょう。


 ◆信頼(しんらい)◆

 社会が安定してくると、人々は損得よりも、心の安定(あんてい)や幸福を求めるようになります。そのときにはじめて「仁」が生きてくるのです。

 今の時代を生きるみなさんはどうでしょうか?

 おそらく、信頼できる友だちや家族がいることでしょう。そこでは損得より、もっと大事な何かを感じていませんか? そうであるならきっと「仁」を学んでいるはずだと思います。


 ◆仁◆

 しかし残念ながら、今でも地球上には戦争が絶(た)えません。怨みには怨みで命やものが破壊(はかい)されています。あるいは、人間が自分の都合(つごう)で、自然を変えようとして山を切り開き、海や川や空を汚(よご)しました。その結果、大きな自然災害(さいがい)が起こり、たくさんの命が亡(な)くなりました。まさに【利に放りて行えば、怨み多し】です。それならば、利ではなく【仁に放りて行えば】となれば、どうでしょうか?

 ぜひ、未来を生きるみなさんの心の中にとどめてもらいたい章句(しょうく)です。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年8月5日 無断転載禁止

こども新聞