論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(21)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。私は十五歳(さい)ころから学問をしようと志(こころざし)を立てた。三十歳のころには自分の考えをはっきりさせた。四十歳ころになると迷(まよ)うことがなくなった。五十歳になって天が与(あた)えた自分の使命についてわかるようになった。


「人生をどう生きるか」指し示す

 ふと、十年、二十年先の自分を考えたことがありませんか? 先が見えなくて不安になることがあります。そんな時にこの章句(しょうく)は「人生をどう生きるか」ということを示(しめ)します。


 ◆志す◆

 「立志(りっし)」ともいいます。歴史に名を残す一流の人物は必ず「固(かた)い志」を持っているようです。「志」は人の背骨(せぼね)にあたるものです。

 「夢(ゆめ)」や「希望」はだれにもあるはずです。その思いの強さが「立志」につながると思います。


 ◆立つ◆

 「而立(じりつ)」ともいいます。三十歳になったころ、孔子は学者として一人前といわれるようになりました。この時期(じき)は人生で一番エネルギッシュに輝(かがや)いているときかもしれません。そして、熱い心で人や仕事に打ち込(こ)みます。壁(かべ)にぶつかることも多いかもしれません。


 ◆惑(まど)わず◆

 「不惑(ふわく)」ともいいます。自分の信念に従(したが)ってやったことが時として非難(ひなん)されるかもしれません。しかし、それを恐(おそ)れては何もできないことになります。四十歳を過(す)ぎて自分の安全ばかり考えて守りになっていたら、決断(けつだん)できない人間になってしまいます。


 ◆天命(てんめい)◆

 人それぞれに人生があり、生まれてきた使命があるはずです。孔子がこの章句の中で、一番大事にしているテーマです。志を立ててから天命を知るまで、人の一生は一つの線でつながっています。

 自分の一生は自分がつくるものです。

 ところで、二十代のことが述(の)べてありません。みなさんはどう考えますか?

 おそらく孔子はこの時期こそ、「修行(しゅぎょう)に打ち込む時」と考えていたのではないでしょうか。たんなる夢(ゆめ)や希望にとどまってはなりません。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年8月19日 無断転載禁止

こども新聞