論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(25)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。「人から学んだだけで、自分で考えることをしないと、何もはっきりと分からない。一人で考え込(こ)むだけで、まわりから学ばなければ、狭(せま)く偏(かたよ)った考えになりやすいのであぶない」


学ぶことと考えること両方が大切

 ◆罔(くら)しということ◆

 ここでは「明(あき)らかでない」とか、「はっきりしない」ということです。

 孔子の時代に「学ぶ」とは、話やしぐさから知識(ちしき)を得ることでした。しかし、今の時代はそれ以外にテレビ・本・インターネットなど、知識はさまざまです。いわゆる情報(じょうほう)があふれている状態(じょうたい)です。そして、どの知識もそれぞれもっとものように見えます。だから、自分の考えが混乱(こんらん)してはっきりしなくなります。

 たくさんの知識を持つことは大事なことです。しかし、そこから「思うこと」すなわち「疑問(ぎもん)を持つこと」「課題(かだい)を見つけること」がなかったら単なる物知りにすぎません。


 ◆殆(あやう)しということ◆

 「危険(きけん)な状態」になることを言います。ここでは「決めつけ」とか「偏見(へんけん)」など偏ることを意味します。

 たとえば、一人で閉(と)じこもって、誰(だれ)からも意見を聞かないとか、他の本などを調べないというのでは、必ず行きづまります。

 あるいは日常(にちじょう)生活の中では「思い込み」とか「早合点(はやがてん)」などがあります。話を最後まで聞かないとか、好き嫌(きら)いで自分の考えを決めるということはありませんか? これはどんな人でもありそうなことですね。

 「学ぶこと」と「思うこと」は「深呼吸(しんこきゅう)」にたとえられることがあります。

 「人の意見や知識を吸収(きゅうしゅう)する」(吸(す)う)

 「自分の考えをまとめて意見を述(の)べる」(吐(は)く)

 「何かおかしいな」と思ったら、ちょっと立ち止まって、深呼吸をしてみましょう。そして、今日の論語章句(しょうく)を思い出してみるといいですね。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年10月14日 無断転載禁止

こども新聞