論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(27)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。「君子は人の良いところを探(さが)し出して褒(ほ)めるものだ。しかし、小人はその反対で、人の欠点や失敗をあげつらうものだよ」


人の長所(ちょうしょ)は認(みと)め、欠点は責(せ)めないで

 こんなことを言った人がいました。

 「人の欠点は何もしなくても、そのうちイヤでも分かってくる。しかし、人の良いところは、その行いや発言をよく観察し、注意深く見なければ見えてこない」

 すなわち、人の長所(ちょうしょ)は好き嫌(きら)いの感情(かんじょう)や、上(うわ)辺(べ)の様子(ようす)では、分からないということでしょう。


 ◆美を成す◆

 孔子の時代に「美」とはビューティフル(うつくしい)という意味ではありませんでした。「価値(かち)が高い」「よいこと」「りっぱなこと」という意味でした。

 人は誰(だれ)でも自尊心(じそんしん)(プライド)があります。自分の存在(そんざい)を認(みと)めてもらうことはその人にとって、大きな生きがいとなります。「人の美を成す」ということは、人のやる気を奮(ふる)い立たせます。ただし、できてないのに「よくできた」とか、本当はここを褒めてもらいたいのに、いい加減(かげん)なお世辞(せじ)や、ピント外(はず)れの褒め言葉を使うことがあります。これでは、かえってやる気を失わせることになります。

 人の良いところを本当に理解し、褒めて認(みと)めるということは難(むずか)しいですね。


 ◆悪を成さず◆

 「人の欠点や失敗を責(せ)めない」ということです。

 そうだろうか? 怠(なま)けていたり、反抗的(はんこうてき)な態度でも孔子は叱(しか)らないのだろうか? そんな疑問(ぎもん)が湧(わ)くと思います。

 実際(じっさい)、努力しなかったり、調子よく怠けようとする人はいると思います。しかし、それをすぐに言ったり責めたりして、「心を改めて良くなった」という例は少ないようです。

 今日の論語は、誰にもある「美」と「悪」をどう考えるかということでした。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2015年11月11日 無断転載禁止

こども新聞