論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(29)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。天が自分に与(あた)えた使命(しめい)を自覚(じかく)し、しっかり行うことができないのなら、君子とはいえないな。


天が与(あた)えた使命(しめい)を自覚(じかく)し行おう

 子どもから「僕(ぼく)(私(わたし))は何のために生まれてきたのですか?」という質問(しつもん)を受けることがあります。大人でもドキッとします。


 ◆君子(くんし)◆

 論語は「君子(人格(じんかく)が立派(りっぱ)な人)を育てる」ということを中心に述(の)べられています。しかし、君子と言っても、さまざまです。

 人には一人一人、すぐれた性格(せいかく)や得意な能力(のうりょく)があります。子どものうちはそれがまだ、かくれていて分かりません。しかし、大人になるにつれて「自分はこんな人間だったのか」ということを薄々(うすうす)感じるようになります。それと同時に自尊心(じそんしん)(プライド)も芽生(めば)えてきます。自尊心を持つことは、自立(じりつ)した人間として、とても大事なことなのです。


 ◆命◆

 論語で命とは「天命(てんめい)」ということです。分かりやすく言えば、天が自分に与えた使命とでも言っておきましょう。「この世に何をするために、生まれて来たのか」ということです。

 人と交わり、みなさんは、ちょっとしたことで自信をなくして、落ち込(こ)んだり、少しおだてられて、いい気になったりしませんか?

 自分は大波小波(おおなみこなみ)の中でもたえるように、しっかりと造(つく)り上げている船だと思ってください。大きい船か小さい船か、スピードが速いかおそいかなどは問題ではありません。だいじなことは、丈夫(じょうぶ)でその船の性質(せいしつ)を生かして、目的をきちんと果たすことですね。

 小さい船は大きい船にできないことがたくさんあります。あるいは、スピードはないけれど、一度にたくさんの荷物を運ぶことができるとか、役割(やくわり)はそれぞれです。それぞれの役割が天命なのです。

 この論語章句(しょうく)ではさらに、「礼」を知らなければ世の中で自立して生きていくことはできない。また、「言葉」を知らなければ人を知ることはできないとも言っています。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))


2015年12月16日 無断転載禁止

こども新聞