(71)鷲原八幡宮流鏑馬馬場(津和野)

毎年春に流鏑馬神事が行われる鷲原八幡宮流鏑馬馬場(資料)
 厳かな時代絵巻の舞台

 津和野町鷲原の鷲原八幡宮の流鏑馬(やぶさめ)馬場は、疾走する馬から弓で的を射る伝統行事「流鏑馬神事」の舞台だ。春に行われる古式ゆかしい時代絵巻をひと目見ようと、全国各地から大勢の見物客が訪れる。

 馬場は、1568年に津和野城主・吉見正頼が鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)の馬場を模して造ったとされ、南北270メートル、中央部の幅が27メートルの規模。国内で唯一、原形をとどめている馬場として、1966年に県史跡に指定された。南北に伸びる中堤があり、流鏑馬神事では的場が設けられる。

 流鏑馬神事は、天下泰平、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願して盛んに行われていたが、継承者が徐々に減り、明治以降に途絶えてしまった。

 その後、57年に津和野弓道会の会員によって一時期、復活。76年からは、弓馬術礼法小笠原流宗家の指導を受けた津和野流鏑馬保存会(吉岡茂太郎会長)が毎春、行っている。

 神事では、鎌倉時代の装束、武具に身を包んだ射手らが登場。駆け抜ける馬にまたがり「陰陽」と叫びながら、3カ所に立てられた約50センチ四方の的を狙う。

 流鏑馬馬場周辺は桜の名所としても知られ、地元の鷲原1自治会がソメイヨシノなどの手入れや草刈りを行っている。

 同保存会の米沢宕文(ひろふみ)副会長(70)は「流鏑馬神事の継承を通じて、津和野観光の発展に貢献していきたい」と話す。

2016年1月7日 無断転載禁止