論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(32)


【訳(やく)】

 たとえ自分の良いところを人に知られなくても、そんなことでがっかりしたり、ムッとすることなどないのだよ。自分のやるべきことをコツコツと積み重ねていく人こそ立派(りっぱ)な人なんだよ。


やるべきことをコツコツ積み重ねよう

 ちょっとばかり知識(ちしき)があるとか、ちょっと人より上に立つとか、偉(えら)そうな気分になるよね。あるいは、「こんなに自分はがんばっているのに、誰(だれ)も認(みと)めてくれない」といって、不平や不満を言いたくなることがあります。どちらもよくある、普通(ふつう)の心の動きです。


 ◆見ている人がいる◆

 ノーベル賞を受賞したある科学者のことです。

 この人は第一志望(しぼう)の会社の入社試験を受けたのですが、落とされてしまいました。しかたなく今の会社に就職(しゅうしょく)しました。しかし、ここでは自分の専門(せんもん)ではない研究をさせられました。だから、会社の中では全く目立たない存在(そんざい)だったようです。普通なら、やる気が起きないでしょう。

 しかし、はっきり言えることがあります。それは、自分が有名になるために研究をしていたのではないということです。しかし、知らない所で、知らない人がこの人の努力をちゃんと見ていたということです。


 ◆慍(うら)み◆

 不慍(うらみず)とは、「腹(はら)を立てない」「不平不満をいだかない」という意味です。さらに慍みは「怒(いか)り」の感情(かんじょう)を含(ふく)みます。昔から「腹を立てた方が負けだ」ということわざがあります。

 どうしてでしょう?

 それは、自分中心で当たり前のことが普通に考えられなくなっているからです。だから、本当に大事なことがいつの間にか分からなくなっているのです。したがって、続けること(継続(けいぞく)する努力)より、目先の感情に心が奪(うば)われているのです。だから、やることが中途半端(ちゅうとはんぱ)に終わってしまうのです。


 ◆君子◆

 人格(じんかく)が立派な人と、普通の人の違(ちが)いは何だと思いますか?

 それは、良い習慣(しゅうかん)を普通の人より多く身につけていることでしょう。だから、心をいつも安定させていることができるのです。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年1月20日 無断転載禁止

こども新聞