秋山英宏の全豪リポート 錦織快勝スタート

「もやもや」吹き飛ばす

 128人の選手名が記されたドロー表には、この先どんな難敵が待ち構えるか、頂点までの行程が記されている。だが、錦織圭は「ドローは見ない」と言う。第一関門をクリアしなければ何も始まらない。先を見るより目の前の試合に集中したいのだ。

 この全豪では初戦がとりわけ重要だった。どの選手も初戦では硬くなる。大会ごとに微妙に異なるボールのバウンドに順応するのも簡単ではない。さらに錦織には緊張を強いる別の要因があった。

 昨年の全米は初戦敗退。その前のウィンブルドンは、1回戦は辛勝したが左ふくらはぎの故障を悪化させ、2回戦で棄権を強いられた。四大大会の初戦はちょっとした鬼門になっていた。しかも今回の相手は自己最高16位の難敵。初対戦であったことも、実戦で相手の情報を集めて対応する錦織にはマイナス要素とみられた。

 「タフな1回戦になる」。そう話していた錦織だったが、複数の悪条件をものともしなかった。好調のサーブで主導権を握り、ストロークも徐々に鋭さを増した。「1セットか2セット取られるのも想像していた」と苦戦覚悟で臨んだが、ストレート勝ち。快勝の手応えが、全米の初戦負けから続いた「もやもや」を吹き飛ばしたことだろう。

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 テニスライターの秋山英宏さんが真夏のメルボルンからリポートする。

2016年1月20日 無断転載禁止

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