メルボルン発全豪日記 ガット一本一本に命

出場選手のガットを張り替えるストリンガー(左)。テニスファンの視線が集まる=メルボルン
 試合中、ボールボーイが、コートチェンジに合わせて選手にラケットを渡すシーンがある。全豪オープンでラケットはロッド・レーバー・アリーナに併設された建物の一室で生まれ変わり、届けられている、と知った。

 ラケットの網の部分、ボールと接する生命線のガット(糸)を張る「ストリンガー」と呼ばれる職人が、その室内で連日奮闘している。

 今大会、公式メーカーのストリンガーは13カ国22人。ガット張りはラケットを固定するマシンを並べた立ち仕事で、ガラス張りの壁面には一流選手のラケットを間近で見ようと、ファンが顔を押しつけている。

 得意な球質、プレースタイルが違う選手たちの感覚は繊細で、ガットのテンション(張力)は、まさに十人十色。天候や湿度によっても違う。

 選手は何本もラケットを用意して試合に臨むが、ガットは切れなくても打てば緩むため、試合中でも持ち込まれ、各陣営から張り具合などの要望を受け、早業で仕上げる。

 錦織圭選手は試合中のテンション変更が多いことで有名。一本一本、命を吹き込まれたガットが「超攻撃的」なプレーを支え、歴史を切り開いていく。

2016年1月25日 無断転載禁止

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