秋山英宏の全豪リポート 準々決勝“凡ミス”54本

自分の責任を強調

 錦織が準々決勝で記録した54本のアンフォーストエラーをどうみるべきか。「凡ミス」とも訳され、相手のショットに関係なく自分で犯したミスを指す。

 ただ、筆者はこの訳に違和感を持つ。ミスには大抵、背景がある。錦織の54本のほとんどはジョコビッチに強いられたものとも言える。自分から攻めなければという焦りや、厳しいボールを打たなければ逆襲を許すという重圧が、大量ミスにつながったとみていい。

 相手がジョコビッチだもの、仕方がないさ。会見場での日本人記者にも何となくそんなムードがあった。しかし本人だけが、その見方を肯定しなかった。

 「相手よりも自分の問題だった」「相手からのプレッシャーもあったが、一番は自分。焦りもあった」

 英語の質疑でも日本語でも、錦織は自分の責任だったことを強調した。ジョコビッチだもの、という言い訳に逃げ込むことを自分に許さず、結果を正面から受け止めようとしているように見えた。

 錦織はこの壁をいつか越えたいと思っているはずだ。もちろん、8強という結果にも満足していないだろう。

 「ふがいなかった。何かを変えないといけない」。正しい反省が、王者との距離を徐々に縮めていくに違いない。

 (テニスライター)

2016年1月28日 無断転載禁止