出雲市立佐香小学校 佐香っ子熱演 閉校の思い出に

 出雲市立佐香小学校(出雲市坂浦町、春日正信校長)は、海、山に囲まれた、標高165メートルの高地に位置しています。校舎からは日本海が一望できる、風光明媚(めいび)な学校です。

 近年の児童数の減少から、平成27年度で閉校となり、平成28年度からは、子どもたちはスクールバスに乗って、新設のさくら小学校(現・久多美小学校)に登校することが決まっています。百年以上続く学校の歴史に幕を閉じる佐香小学校。ふるさと佐香の景色、佐香小学校の風景が子どもたちの心にずっと鮮やかに残るように、最終年度の本年度、さまざまな取り組みを行ってきました。

 佐香の良さを発信できる佐香っ子、佐香の良さを表現できる佐香っ子の育成を目指した本年度の取り組みについて、子どもたちに紹介してもらいます。


ミュージカルで感謝の心

学習発表会で全校児童たちが熱演を繰り広げた「佐香っ子ミュージカル」
 昨年11月15日、佐香小学校の体育館で最後の学習発表会がありました。わたしたちは、約1カ月半の練習を経て、その学習発表会で全校児童による初の取り組み、「佐香っ子ミュージカル」を披露しました。

 ミュージカルは4部構成になっていました。第1部では森の精が、第2部では風の精が、そして、第3部では海の精が登場し、百年以上続く佐香小学校の歴史を惜しんだり、昔を懐かしんだりしながら、ダンスや歌を披露しました。

 そして、感動の第4部では、佐香小の子どもたち役の児童と妖精たちが、閉校をさみしく思う気持ちを交流させながらも前向きに生きていこうとする様子を、演技と歌で表現しました。

 このミュージカルを作り上げるまでに、まず、9月に東京から演技指導の先生に来てもらい、指導をしてもらいました。そして、上学年を中心にして台本の構成を考えました。

 10月には、できあがった台本を読み合わせしたり、実際の演技合わせをしたりして、演技の練習をがんばりました。歌の指導は出雲芸術アカデミーの先生に教えてもらいました。

 3時間の長い時間、1年生から6年生までの38人で本当にできるのか心配だったけど、うまくできてうれしかったです。みんなで協力して作り上げたことは、とてもいい経験になりました。今後も38人で力を合わせて、新しい学校でもがんばりたいです。   (3年・山岡菜々、芥屋維月、玉木純、4年・金築永利加)


☆…佐香っ子ミュージカルの感想…☆

 ぼくたちは、練習が大変だったけど、本番はうまくできてよかったです。地域の人やおうちの人が見に来てくれて緊張したけど、がんばることができてよかったです。 (1年・下瀬新来大、熱田朱音、2年・廣戸遙)

 わたしたちは、歌やダンスをしたり、せりふを言ったりして楽しかったです。お客さんがたくさんいて、どきどきしました。最後の学習発表会が成功してうれしかったです。 (1年・梅木愛士、山岡凪、2年・金折結衣)

 ぼくたちは、全校で協力して、ダンスや歌、せりふをがんばって覚えて、本番は大成功だったことがすごくうれしかったです。佐香っ子ミュージカルをして、佐香のことがもっとよく分かりました。 (1年・佐藤心音、原田澪、2年・岡優成)


元五輪選手・土江寛裕さん来校!! 世界4位すごい

土江さん(左)から足が速くなるこつを教わる児童たち
 昨年の9月6日、佐香小学校の体育館に、平田出身の元オリンピック選手、土江寛裕(ひろやす)さんが来られました。

 元オリンピック選手と聞いて私たちはびっくりしました。土江さんは、2004年に開催されたアテネオリンピック男子400メートルリレーの選手だったそうです。そして、なんとオリンピックで4位になったそうです。

 土江さんは私たちに夢について語ってくださいました。私たちは、夢をあきらめずに追いかけていって、世界で4位になった土江さんは本当にすごいと思いました。講演会の最後には、足が速くなるこつも教えてくださいました。  (3年・原田響、山岡詩音)


川端さんの指導で巨大アート制作
絵本作家 川端誠さんと巨大アート制作

 昨年の9月29日、佐香小学校の体育館で、絵本作家、川端誠さんと巨大アート制作をしました。

 テーマは「佐香の海」と「佐香の森」です。まず、縦80センチ、横5メートルのとても長い紙を体育館に敷き、その紙に川端さんが「水」と「木」のキャラクターを描いてくださいました。

完成した巨大アートをバックに記念撮影
 私たちはその後、2組に分かれて、好きな絵の具と筆を持って、テーマに合う絵を描き始めました。1時間後、カラフルな、世界で一つだけの佐香の海と森が完成しました。

 とても楽しくて、よい思い出ができました。  (4年・赤名まどか、福田汐音)


川柳を学んで

 佐香小学校の5、6年生には、地元小伊津在住の詩人、金築雨学さんが毎年、詩と川柳を教えてくださいます。作品を紹介します。

テーマ「命」

自然にもたくさん命生きている
     (5年・芥屋朋紀)

太陽は世界を照らす命です
      (5年・廣戸悠)

紙を切るハサミの命光ってる
      (6年・山岡陸)

太陽はみんなの命守ってる
     (6年・佐藤翔真)

金築さんから川柳の指導を受ける児童たち
テーマ「芋」

芋たちは根から生えてる生きている
     (5年・佐藤十希)

ジャガイモは芋のお菓子に変身だ
     (5年・南場皆人)

テーマ「朗らか」

お母さん笑顔たくさんほがらかだ
     (5年・郷原柊太)

一人が笑いみんなが笑いほがらかだ
     (5年・金築彩華)

お父さんよっぱらったら朗らかだ
     (5年・金森京介)

テーマなし(自由吟)

金築さんの指導の下、制作した川柳や詩の作品集
昼休み校庭へ出てあそぶんだ
      (5年・玉木颯)

流れ星すぐに消えてく願い事
     (5年・金築七海)

サッカーのぼくのスパイク点をとる
     (6年・熱田翔也)

金築雨学さんコメント(川柳の指導)

 初めて川柳・詩を作ろうと呼びかけた時、みんなぽかんとしていた。しかし、一度旋律を覚えると、それぞれの感性は火がついたように心の中を書いてくれた。5冊になった川柳、詩集には、佐香小学校最後の子どもたちの笑顔が刻まれている。


ふるさと校外学習

~出雲大社&荒神谷博物館~ 地区の歴史を学び新発見

荒神谷博物館で平野副館長の話を聴く児童たち
 昨年の11月2日、全校児童38人でバスに乗り、「ふるさと校外学習」に出かけました。昨年度、私たちは赤浦や一畑藥師に出かけて、佐香地区の学習をしました。その発展として、本年度は出雲大社と荒神谷博物館に出かけました。

 まず、出雲大社では、6班の縦割り班に分かれました。そして、マップを見ながら目的地に向かいました。途中、緑色の郵便ポストやおそば屋さん、大黒様の像など、いろいろなおもしろい物や店を発見しました。そして、最後に出雲大社で写真を撮りました。

 荒神谷博物館では、平野芳英副館長さんに佐香の良さを発信し、その後、佐香のことをいろいろ教えてもらいました。佐香地区にある、巨石で有名な立石(たていわ)神社のことをとてもくわしく教えてもらって勉強になりました。  (3年・金森りん花、金森美紗)

松江城山公園で、訪れた人に佐香の歴史や良さをPR
~松江城~ 観光客に地元の良さ発信

 昨年の9月2日、私たち3、4年生は松江城に行きました。総合的な学習の時間で調べてきた、佐香の良さを発信するためです。

 松江城に着いたらまず、班ごとに分かれて発表の準備をしました。発表は、佐香の場所や佐香には自然がいっぱいあること、そして、赤浦や立石神社などの名所、そこに伝わる伝説などを、作ってきたフリップや写真などを見せながら発表しました。手作りリーフレットも渡しました。

 いろいろな県の人や外国の方がおられました。教えたらみんな喜んでくださり、うれしかったです。  (3年・金森里紗、芥屋柚奈、黒川煌斗)


伝統行事に挑戦 ~小伊津の神事舞~

 毎年1月2日に行われる小伊津の神事舞には、小伊津地区に住む小学生は3年生から参加することになっています。今年は9人が参加しました。

 当日は、まず、小学4年生から6年生までの子どもたちが「ぎおんばやし」を披露します。「ぎおんばやし」とは、小伊津の町を横笛を吹きながら練り歩く神事です。

 その後、小伊津の自治会館に到着して、ぼくたちは着物に着替えます。化粧もしてもらいます。そして、いよいよ舞の時間になり、「しお清め」「4人舞」「2人舞」「1人舞」と順番に舞を舞います。舞は約10種類あります。

 ぼくたちは、この舞を11月から約2カ月間練習してきました。とても大変でしたが、練習を一生懸命がんばって本番では成功したので、がんばってよかったと思っています。(3年・満田朝陽、山岡みなみ、4年・青山海輝、下瀬優貴)


担当者の思い

 「佐香小でよかった」 充実した残りの日々を

 閉校する年度に行う行事、学習、活動はどれも意義深く、感慨深いものになることは言うまでもないことでしょう。

 佐香小学校は百年以上の歴史を誇る、地域に愛された学校です。私は、そんな学校の閉校の年に、子どもたちに何を残してあげることが大切か、昨年度よりずっと悩んでいました。

 その結果、子どもたちの心に残る佐香の思い出として、今まで取り組んだことのないことに全校で挑戦したい、全校で成し遂げた充実感を味わってほしいと強く願うようになりました。

 そうして思いついたのが全校ミュージカルです。ふるさと佐香が舞台となるオリジナル台本を子どもたちと作成しました。子どもたちにとっても、われわれ教員にとっても初めての経験。どきどきしながら手探りで進む日々もまた、愛(いと)しい思い出となりました。

 NIE教育の実践指定校(平成26~27年度)となったことも大きな成果でした。発信する場と機会があったことで、子どもたちの活動も活発化しました。

 絵本作家・川端誠さん、元オリンピック選手・土江寛裕さんなど、多くの著名な方々も学校に来てくださり、子どもたちに思い出に残る時間をくださいました。子どもたちの笑顔もたくさん見ることができました。3月の終わりに、38人の子どもたち全員が「佐香小学校でよかった」と言ってくれるように願い、残りの日々を充実させたいと思います。(NIE教育担当 吉廣恭由子)

2016年2月15日 無断転載禁止

こども新聞