紙上講演 関西大名誉教授 大西 正曹氏

関西大名誉教授 大西 正曹氏
地方創生~これからのモノづくり

 技術力サービスに生かす

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が16、17の両日、浜田市と益田市であった。中小企業の実情に詳しい関西大名誉教授の大西正曹氏(73)が「地方創生~これからのモノづくり」と題して講演し、再起した企業の事例などを紹介しながら、培った技術をサービスに転換する視点を持つことの重要性を説いた。要旨は次の通り。

 日本のモノづくりは、良いものさえ作っていればいいという呪縛から抜けられていない。しかし、肝心なのはこれまで培った技術やノウハウをどのように生かすかで、「モノ」から「コト」(サービス)への転換だ。良いものは必ず売れるという考えから、顧客の満足度を重視してサービスを提供するという考えに変えていかないといけない。

 例えば、兵庫県にあるのこぎりの製造メーカーは在庫を多く抱え、倒産の危機に直面したことがあった。問屋を回って原因を調べると、顧客から「2日でさびる」「用途によって使い替えないといけない。真っすぐ切れない」といったクレームが届いていたことが分かった。顧客の要望に沿って製品を見直した結果、爆発的に売れる商品ができた。

 一方、北海道釧路市では地元企業などが協力して会社を立ち上げ、閉山した太平洋炭鉱での石炭採掘を再開した。それだけでなく、同炭鉱が少なくとも30年間はほぼ無事故であることに社員が気付き、海外から研修生を受け入れて安全な採掘方法を指導する事業を始めた。

 これは同炭鉱が持つ力を生かして、「コト」を生み出した事例。こうした例は多くあり、地域再生のヒントは全て地元に眠っている。土地の財産「地財」を掘り起こすことが地域再生の基本だ。

2016年2月18日 無断転載禁止