論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(35)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。人として正直な生き方を心がけ、人に真心を尽(つ)くし、思いやりの心を忘(わす)れず、そして、まじめに勉強をする。この四つが大事だよ。


心に持ち続けたい大事なもの

 「そんな立派(りっぱ)な人がいるのか? 無理だよそんなこと!」という声が聞こえそうです。しかし、これが論語(ろんご)なのです。ついうっかり、見過(す)ごしてしまいそうな章句(しょうく)でもあります。


 ◆なくてはならない◆

 何でもよく知っているとか、何でも上手(じょうず)にやりこなす人がいますね。きっと、みんなの憧(あこが)れでしょう。しかし、その前に、人にはなくてはならない、何か大事なものがあるようです。 

 昔から、日本中の子どもたちが親からよく言われた言葉があります。

 「お天道(てんと)様(お日さま)の下(もと)で、はずかしくない生き方をしなさい」と。分かりやすく言えば「うそやごまかしがなく、人としてはずかしくない、当たり前の生き方をしなさい」ということです。

 孔子はまた「しつけもろくにできていない者が、おけいこ事や学問をやってもムダだ」とも言っています。つまり、社会に出たら、人と人の良い関係が最も大事になります。人が離(はな)れていくのと、人が寄(よ)ってくるのでは大違(おおちが)いですね。


 ◆大事なもの◆

 論語における「芸(げい)」とは六芸(りくげい)(礼(れい)・楽(がく)・射(しゃ)・御(ぎょ)・書(しょ)・数(すう))という教養(きょうよう)のことです。今の学校ではこの中で音楽・体育・国語・算数などがあります。

 六芸と呼(よ)ばれるこれらの教養は、昔から高い知識(ちしき)や能力(のうりょく)とされていました。だから、就職(しゅうしょく)するのに有利だったようです。いわゆる「芸」さえ身につければそれで良いと思うのは、今も昔も同じです。

 ところが、この考えには大事なものが抜(ぬ)けています。それは、道徳(どうとく)や願いとか志(こころざし)です。「芸」はすべてを含(ふく)むものです。表面だけきれいに整えても、所詮(しょせん)メッキにすぎません。「今さえ良ければ」「自分さえ良ければ」ではむなしい人生になってしまいます。そうならないためにも、今日の章句は心に持ち続けたいものです。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師(こうし)・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年3月2日 無断転載禁止

こども新聞