仕事みてある記 日本一の庭園美 精魂込め守る

周囲と調和して自然に見えるように配慮しながらコケを張り替える新田真一さん=安来市古川町、足立美術館
 庭 師(にわし)

   新田 真一(にった しんいち)さん (安来市古川町)



 「完璧(かんぺき)な庭園をお客さんに楽しんでもらいたい」。アメリカの日本庭園専門誌(せんもんし)が13年連続で日本一に選び、外国人客も増(ふ)えている足立美術館(あだちびじゅつかん)(安来(やすぎ)市古川(ふるかわ)町)の庭師(にわし)、新田真一(にったしんいち)さん(36)は、広大な庭園の隅々(すみずみ)まで目を配りながら、四季折々(おりおり)に多彩(たさい)な表情(ひょうじょう)を見せる庭園の美を、精魂込(せいこんこ)めて守り続けています。


 同美術館の主庭(しゅてい)「枯山水庭(かれさんすいてい)」に続く庭のコケを張(は)り替(か)えます。赤松の枝(えだ)からしたたる雨だれで、根元を覆(おお)うコケが傷(いた)んでしまいました。ほうきで砂(すな)などを取り除(のぞ)き、傷んだコケを小型のスコップで土ごとはぎ、新しいコケを張っていきます。

 「コケには向きがあります。高い所から低い所へ生える習性(しゅうせい)のためです。周りと同じ向きにしないといけません」。新しいコケは同美術館の仮植場(かしょくば)に自生している、複数(ふくすう)の種類(しゅるい)が交じったコケを選びます。

 張り替えたところが目立たず、周囲と調和して自然に見えるようにする配慮(はいりょ)なのです。

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 安来市生まれ。松江農林高校の造園(ぞうえん)土木科(当時)で学び、同美術館に就職(しゅうしょく)しました。

 同美術館の庭園は広さ16万5千平方メートル。「枯山水庭」はじめ「白砂青松庭(はくさせいしょうてい)」「苔庭(こけにわ)」など六つで構成(こうせい)されており、庭園全体の見回りから一日が始まります。草は一本残らず抜(ぬ)き、落ち葉も取り除きます。お客さんの目に触(ふ)れない所もきれいにする徹底(てってい)ぶりです。

 夏場には樹木(じゅもく)の剪定(せんてい)があります。6月から約100本の黒松を手始めに、シイやクスノキなど千本以上の雑木(ぞうき)、約800本の赤松と続きます。「木は大きくなると形が乱(みだ)れ、庭全体のバランスが崩(くず)れます。木にも負担(ふたん)がかかって、風通しが悪くなり害虫(がいちゅう)がつきやすくなります。そうしたことを防(ふせ)ぐんです」。「暑い盛(さか)りですし、ずっと木の上。汗(あせ)だくです」。大変な作業だけに、終わった後の達成感は大きい、と言います。

 さらに白砂の補充(ほじゅう)、池の掃除(そうじ)、庭木の消毒(しょうどく)、施肥(せひ)…。13年連続日本一は「日々の努力が評価(ひょうか)された」と受け止めています。来館者がもらす「すごい、きれい」との声を聞くと「心の中で思わず『よっしゃー』とガッツポーズです。日本一を守り続けられるよう頑張(がんば)りたい」

2016年3月9日 無断転載禁止

こども新聞