レッツ連歌(下房桃菴)・3月10日付

(挿絵・FUMI)
 掛け声ばかり勇ましき朝

暖冬と言われたワリに積もる雪 (美郷)源  瞳子

咲いたのを後悔してる庭の梅  (松江)森廣 典子

お師匠も鳥肌になる寒稽古   (益田)石田 三章

辻(つじ)立ちに足を止めるはワンコだけ
               (出雲)放ヒサユキ

甲冑(かっちゅう)が似合うと爺(じじ)ィおだてられ
               (飯南)塩田美代子

留守番の九官鳥に覚えさせ   (大田)杉原サミヨ

病室を変えてくれって言ってみよ(松江)山崎まるむ

指揮をする炬燵(こたつ)の中の母白寿
               (出雲)栗田  枝

オンドリは要らぬ眠たい日曜日 (松江)中村 清子

しょうがない外は雪でも犬が待つ(益田)竹内 良子

イメトレを女房子供に笑われて (浜田)三隅  彰

黒帯は後をゆっくり付いてくる(津和野)岡田 忠良

一億の総活躍はいつだらか   (出雲)はなやのおきな

目覚ましの軍艦マーチ鳴りつづけ(出雲)原  陽子

穏やかに喋(しゃべ)れないのか北のアナ
               (益田)石川アキオ

ドーピングではないのかと疑われ(川本)高砂瀬喜美

じいちゃんの日課テレビで見る体操
               (美郷)芦矢 敦子

今日からはきっぱり止める酒タバコ
               (出雲)黒田千華子

向こう岸近くならない初泳ぎ  (松江)岩田 正之

夕飯の刺身はオレが釣ってくる (松江)田中 堂太

錦織の試合こたつで応援し   (松江)持田 高行

木刀の先でトンボが一休み   (江津)花田 美昭

稽古せぬ関取多い相撲部屋   (安来)根来 正幸

ウソ笑いでも体にはよいらしい (雲南)横山 一稔

社長来る日には上役カッコつけ (松江)三島 啓克

買っちゃった松岡修造カレンダー(益田)黒田ひかり

昼が来て夜が来るのが早すぎる (出雲)矢田カズエ

休みたいけど休めない二日酔い (松江)花井 寛子

新聞を取りに出るのに大袈裟(おおげさ)な
               (松江)水野貴美子

初恋のあの娘(こ)が見てる寒稽古
               (雲南)妹尾 福子

寒稽古とは名ばかりの床暖房
            (沖縄・石垣)多胡 克己


           ◇

 三寒四温とはよく言ったもので、暖かい日がしばらく続いたかと思うと、急に寒さがぶり返す…。油断できない今日このごろですが、梅の花が後悔しているだろうというのは、面白い見立てです。

 「オンドリは要らぬ」というのは、コケコッコーがうるさいからですが、このことばの裏には、卵も産まないくせに、という別の敵意も込められているようですね。

 目覚ましの音が軍艦マーチというのは、なるほど勇ましいことですが、それでも起きられないのですか。陽子さんの句は、「鳴りつづけ」が活(い)きています。

 錦織選手をこたつの中で応援する人もいれば、現地まで出かけて励ます先輩もおられます。

 そういえば、「松岡修造カレンダー」―、元気がもらえると大評判だそうですね。もっとも、ほんとに元気がもらえるかどうかは本人次第。ひかりさんの句は、「買っちゃった」というあたりが微妙ですね。

 ところで、この前、「泣きながら走って帰るランドセル」の「ランドセル」は、「小学生」の換喩表現だということを申しましたが、今回の入選句の中にも、典型的な換喩が使われております。それはどの句か、お分かりでしょうか。

 失礼しました。やさしすぎますね。ただ、こういう技法というのは、分かりきっているようでも、あらためて確認しておいたほうがよいかと思います。そうすることによって、次の機会には、ご自身でも使ってみることができるようになるのじゃないでしょうか。

           ◇

 最近の若い人には、

  包丁は無理ハサミなら使えます

なんて人も少なくないとか。

 次は、この句に七七を付けてください。

              (島根大学名誉教授)

2016年3月10日 無断転載禁止

こども新聞