紙上講演 日銀松江支店長 三輪 信司氏

日銀松江支店長 三輪 信司氏
内外経済環境の変化と山陰における取り組みへの期待

 成長へ新たな組み合わせ

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が10、18の両日、松江、米子両市内であった。日銀松江支店の三輪信司支店長(55)が「内外経済環境の変化と山陰における取り組みへの期待~子世代・孫世代のために~」と題して講演し、人口減が進む中、地域経済の成長には生産性向上などが必要と語った。要旨は次の通り。

 1999年から日本は長いデフレ状態にあり、企業は海外にシフトし、海外からの投資も縮減。閉塞感が漂い、日本の稼ぐ力は低下した。都市から地方、大企業から小規模企業への波及効果も縮小し、山陰経済は日銀の短観などでも全国と差がつき、成長から取り残された。

 一方、13年からの景気拡大期は、日銀の金融緩和などで金融機関の貸出金が増加。物価が上昇傾向となり、山陰経済も全国と同様、緩やかに回復している。しかし16年に入り、海外経済の減速、原油安への懸念から、金融市場が不安定になっている。こうしたリスクの顕現化を防ぐため導入されたのがマイナス金利政策だ。企業向け融資や住宅ローンの金利が下がっており、景気を下支えすると期待している。

 山陰は人口減という問題が横たわり、経済成長には生産性向上が必要だ。カギとなるのは、経済学者シュンペーターが唱えた「新しい組み合わせ」。既に建設業が農業や福祉など新事業に参入したり、農産物の6次産業化、大学と企業が連携した製品開発など、前向きな動きが広がっている。

 観光業も大きな可能性を秘める。歴史や文化に関心の高い欧米人などを対象に、東京オリンピックで増える訪日客を取り込むことが期待できる。観光客の受け入れを通し、住民が地元の良さを再認識するきっかけとなるなど、社会的メリットも大きいはずだ。

2016年3月19日 無断転載禁止