論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(38)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われるには、寒くなって、他の草木がしぼみ始めた後にはじめて、松や柏(かしわ)の緑が変わらぬことが分かる。


辛(つら)いことでも耐(た)え堂々と生きたい

 これは松や柏(桧(ひのき))の力強い生命力を人間に例えて「辛(つら)いことでも耐(た)えて、堂々として生きたいものだ」と孔子が自分を励(はげ)ましたものだと思われます。


 ◆苦難(くなん)から◆

 孔子の一生は、その大半が放浪(ほうろう)の旅であったといわれます。ある時には殺されそうになったり、またある時は食べ物がなくて苦しい思いをしたり、愛する弟子(でし)が病気や戦いで亡(な)くなったりしました。「ああ、天が私を亡(ほろ)ぼしたのだ」と二度も繰(く)り返(かえ)して、心が折れそうになることもありました。しかし、その度(たび)に苦難を乗り越(こ)えていきました。この強さはどこから出たものでしょう?

 孔子は若い時から古典を学び、理想の国家を求めていました。そして、誰(だれ)よりも「高い徳(とく)」と「固(かた)い志(こころざし)」があったのです。だから、たくさんの優(すぐ)れた弟子たちが集まって来たのでしょう。


 ◆伸(の)びる人◆

 ふだんよい時には、誰でも穏(おだ)やかないい顔をしています。だから、この人が本当はどんな人か分かりません。しかし、よく分かる時があります。それは何かで辛い思いをした時です。

 例えば、誰かに叱(しか)られたり注意を受けた時、どうでしょうか。人間は感情(かんじょう)がありますので、どうしても嫌(いや)なことには反発(はんぱつ)したり、ごまかして逃(に)げようという気持ちになります。だから、「だって」とか「しかし」など、言い訳(わけ)の言葉がまず始めに出ます。もちろん、注意を受けた人にも、言いたいことがあるでしょう。

 ところが一方、「ごめんなさい」とか「これから気をつけます」という言葉がまず始めに出る人もいます。この人は、あるがままを素直(すなお)に受け入れる人でしょう。また、感情を抑(おさ)えて、我慢(がまん)することができる人でしょう。

 今日の章句(しょうく)、いつか思い出すことがあります。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師(こうし)・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年4月13日 無断転載禁止

こども新聞