紙上講演 笹川平和財団前理事長 高木 雄次氏

笹川平和財団前理事長 高木 雄次氏
原油価格見通しとエネルギー問題の行方

 40ドル台の低水準続く

  山陰中央新報社の石見政経懇話会の定例会が22日、浜田市であり、笹川平和財団前理事長の高木雄次氏(67)が「原油価格見通しとエネルギー問題の行方」と題して講演し、世界的に需給がアンバランスな状況を受け、今年の原油価格は1バレル当たり40ドル台の低水準が続くとの見通しを示した。要旨は次の通り。

 原油価格は2014年夏ごろまで、1バレル当たり100ドルを超える高水準を保っていたが、同年秋ごろから一気に下がり続け、今年の1、2月には20ドル台と非常に低くなった。現在は40ドル程度で推移している。

 世界経済にとって、原油価格が下がるのは大きなプラスだが、逆に、高価格を許容できる力がないことを示している。今年は年間を通して、50ドルをうかがいながら40ドル台にとどまり、来年に向けて少しずつ上がっていくと見る。

 価格の急激な下落には二つの要因がある。中国経済の減速とアメリカのシェール革命だ。中国は製造業を中心に経済成長が鈍り、需要が減っている。一方、アメリカではシェール革命で原油生産量が2008年と比べて倍増し、世界的に需給のバランスが崩れた。

 価格下落には大きなデメリットがある。再生可能エネルギーなどの開発にブレーキがかかることだ。事実、欧米の石油メジャーはこの一年、エネルギー開発投資を3割近く縮小している。これでは、将来の新たなエネルギー源が失われ、世界の人口増に伴って見込まれる需要の増加に、供給が追いつかなくなることも予測される。

 理想的な価格は70~80ドル程度。行き過ぎた安値が適正水準になれば、再生可能エネルギーなどへの開発投資が進み、安定供給の体制を確立できる。

 2050年に世界人口は94億人になる。自然エネルギーの活用を目指さなければ、次の時代に立ち向かえない。日本でも、地熱発電や、潮力や波力を活用した海洋発電などに大きな可能性がある。技術立国の日本は、低炭素社会に向かう世界のリード役になる。

2016年4月23日 無断転載禁止