暫定2車線の弊害 第4部 選択肢(3)完成2車線

岩美道路の岩美IC付近を走行する車両。簡易ポールの暫定2車線(奥)から、中央分離帯を設けた「完成2車線」に変わる=鳥取県岩美町本庄
分離帯設け安全性担保

 鳥取市から鳥取県岩美町へ続く駟馳山(しちやま)バイパスを走って岩美インターチェンジ(IC)に差し掛かると、片側1車線の中央に並んでいた簡易ポールが中央分離帯(ガードレール)に変わる。2016年3月26日に開通したばかりの「岩美道路」岩美IC―浦富IC間(1・9キロ)。将来4車線になる計画がない「完成2車線」で、上下線を完全に分離している。

 県が管理する岩美道路は高速道路網を補完する地域高規格道路で、延長5・7キロを約300億円で整備する。事業中の浦富IC―東浜IC間にも分離帯を設けて、平成30年代前半の全線開通を目指しており、鳥取市から兵庫県豊岡市を経て京都府宮津市に至る「山陰近畿自動車道」の一部になる。

 岩美道路が完成2車線に決まったのは、整備の基準となる国の道路構造令に照らした結果だった。

 鳥取県は人口推計などを基に、将来見込まれる1日当たりの交通量を1万3200台と算出。構造令は地方平地部の自動車専用道路の場合、1万4千台以下の道路は片側1車線の2車線で整備するよう定める。

 同県高速道路推進室の小田原聡志室長(52)は「税金を投入する以上、県民に説明できる道路でなければならない」と構造令に基づいた経緯を語り「分離帯設置で対向車線へのはみ出し事故の確率は格段に下がる」と意義を強調する。


時速80キロ走行可能

 対面通行による重大事故のリスクを減らすため、国土交通省は03年、完成2車線に原則、分離帯を設けるよう構造令を一部改正した。安全性向上に伴い、暫定2車線(片側1車線)より速い、時速80キロでの走行が可能となる。4車線構造に比べ3~4割のコスト縮減が見込まれる。

 将来の4車線化を見据えた暫定2車線は、多くの区間で簡易ポールで上下線を区切っただけの「非分離式」を採用し、4車線に移行しやすい造りになっている。半面、仮に暫定2車線で供用開始後に分離帯を設けようとしても、構造令で必要な幅員「1・5メートル」が確保できず、設置できないケースが生じている。


はみ出し事故防止

 「正面衝突事故防止に向けて中央分離帯を導入します」。14年8月、国交省徳島河川国道事務所が発表した資料に見出しが躍った。徳島県南東部に建設予定の地域高規格道路「桑野道路(延長6・5キロ)」「福井道路(同9・6キロ)」に分離帯を設ける内容だった。

 両道路は四国4県を結ぶ「四国8の字ネットワーク」を形成する阿南安芸自動車道の一部で、四国横断自動車道と接続する。現在は用地買収の段階で、供用開始時期は未定だ。

 桑野道路は11年度、福井道路は12年度に事業化された。費用対効果を勘案し、分離帯を設置するかどうか検討を重ねていた。

 さなかに四国地方の暫定2車線区間で対向車線へのはみ出し事故が頻発。11、12年で亡くなった6人のうち、はみ出しでの死者が3人に上り、コストはかさんでも安全対策を優先し、分離帯を設けた完成2車線へとかじを切った。

 「交通量が少なく、4車線化への移行が見込めない地方にとって、完成2車線は安全性を堅実に担保する選択肢の一つになる」。03年に構造令の改正を解説する論文を発表した、国交省国土技術政策総合研究所の桐山孝晴道路研究官(52)は有効性を説く。

2016年5月11日 無断転載禁止