暫定2車線の弊害 第4部 選択肢(4)暫定2車線独自策

東北横断自動車道・釜石秋田線の遠野IC―宮守IC間。暫定2車線に中央分離帯を試行的に設けた=2015年12月、岩手県遠野市(東北地方整備局提供)
4車線遠く分離帯試行

 ガードレールが中央に並ぶ片側1車線を車両が行き交う。2015年12月に開通した、岩手県の東北横断自動車道釜石秋田線遠野インターチェンジ(IC)―宮守IC間。中央分離帯を設けた「完成2車線」のように見えるが、将来の4車線化を見据えた「暫定2車線」だ。

 釜石市と秋田市を東西に結ぶ総延長212キロの道路で、東日本大震災の復興支援道路に位置付けられている。このうち遠野―宮守間(延長9・0キロ)は、道路整備の基準になる道路構造令が一部改正された03年度に事業化。国と自治体が事業費を負担する「新直轄方式」で建設し、総事業費は237億円に上った。

 似て非なるもの-。暫定2車線は簡易ポールと縁石で上下線を区切るだけのケースが大半の中、同区間は中央分離帯を設けた、まれな事例だ。

 30年度の交通量は1日当たり1万2400台を見込むが、開通1カ月後の交通量は約7100台にとどまる。国土交通省東北地方整備局道路計画第1課の高松昭浩課長補佐(51)は「交通量が伸びず、4車線化実現に時間を要す可能性が考えられる。安全性や費用対効果を含め総合的に判断して試行した」と分離帯設置の経緯を説明する。


500メートルごとに開口部

 会計検査院の調べでは、14年度末時点で供用している暫定2車線2423・8キロのうち、93%の2264・2キロが4車線化の実施時期が明確になっていない。特に地方は将来、交通量の伸びが見込めない区間が多数ある。暫定期間が長期化し、あらかじめ取得した4車線化の用地が利用されない実態が少なくない。

 こうした現状を受け、東北地方整備局は暫定2車線区間に分離帯を試行的に設けた。安全性向上に伴い、暫定2車線より10キロ速い時速80キロで運用。用地取得は供用する2車線分のみで行い、緊急時に車両の転回ができるよう500メートルごとに開口部を造った。

 開通後に同整備局が地元企業を対象に行ったアンケートでは「冬季にスリップし、対向車線にはみ出す不安が解消された」との声があった。ただ、分離帯の設置費用をはじめ、4車線化した際は撤去工事が必要になり、コストが膨らむ。高松課長補佐は「整備効果を今後検証する。地域の意見に耳を傾け、適する道路の形を追求していく」と強調する。


「島根型」の構築を

 「4車線完成まで長い期間を要する区間、交通量の少ない区間への参考になると考える」。13年の島根県議会2月定例会本会議。当時、交通網整備促進特別委員会(12人)の委員長だった五百川純寿県議(67)は、鹿児島県の東九州自動車道を視察した結果を報告した。

 10年3月に開通した同自動車道の末吉財部(すえよしたからべ)IC―曽於弥五郎(そおやごろう)IC間(11・1キロ)も暫定2車線にコンクリートの分離帯を設けていた。管轄する国交省大隅河川国道事務所から説明を受けた一行は実際に現地を走行し、安全性や利便性と向き合う姿勢を感じ取った。

 暫定2車線が9割を占める山陰両県。五百川県議は、4車線化を求めるより、人口減を見据え、分離帯を設けた「完成2車線」にし、追い越し車線を整備して流れを確保するのも選択肢の一つとする。「都市部と画一的である必要はない。住民にとって安全安心な『島根型』の道路整備を構築できるかが鍵だ」。あらゆる安全策を組み合わせ、国に働き掛ける必要性を説く。

2016年5月12日 無断転載禁止